65歳以上「貯蓄4000万円以上」の割合は?広がる貯蓄格差と家計を圧迫する「食費・光熱費」の存在
貯蓄額に大きな差が出るのはなぜ?3つの理由
世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄額に大きな差が出る理由には以下の3つが考えられます。 ●貯蓄額に大きな差が出る理由1:子どもが大学を卒業して自立する 親が30~40歳の間に子どもが生まれていれば、親が52~62歳までに子供が大学を卒業して自立します。そうなれば、養育費や教育費はかからなくなります。 この時期に集中して老後資金を貯めることで、大きく貯蓄額を増やすことができます。 ●貯蓄額に大きな差が出る理由2:まとまった退職金を受け取る 大企業に勤務している人、公務員などは60~65歳までの退職時にまとまった退職金が受け取れます。退職金を一時金で受け取る際、「退職所得控除」という減税措置効果で、支払う税金が少なくてすみます。その分、貯蓄額が大幅に増えることが期待できます。 ●貯蓄額に大きな差が出る理由3:住宅ローンが完済する 住宅を購入したときに住宅ローンを組んだ人の中には、60~65歳になれば完済となる人は多いもの。今まで支払っていた毎月の返済がなくなれば、その分を貯蓄に回しやすくなります。 老後資金については、若いうちから計画的に貯める人がいる一方で、定年が近くなる50歳代から集中的に貯める人もいます。しかし、さまざまな事情で思うように貯められない人もあり、貯蓄額に大きな差ができる原因となります。
貯蓄額が少ない場合の問題点
65歳以上の世帯で貯蓄が少ない場合、昨今の物価上昇の影響も加わり、家計費に含まれる食費や光熱費といった日々の支出が気になるようになるでしょう。 総務省が公表した「2020年基準消費者物価指数」によれば、総合指数が2020年を100とすれば「109.1」。前年同月と比べて3.0%上昇しています。 総合指数のうち、食料費や高熱・水道費の指数は以下のとおりです。 ・食料費:117.6 前年同月に比べ、生鮮野菜、果物、菓子類、穀類、調理食品など食料品全般にわたり、値上がりしています。 ・高熱・水道費:118.9 前年同月に比べ、電気代、ガス代が値上がりしています。 今後も食料品や電気代等の値上がりが続くとすれば、貯蓄が少ない世帯は生活費の増加に対処できず、老後の生活が厳しくなる傾向にあるといえます。