「ガムを噛みながら現れて…」受付嬢がドン引きしたトンデモ就活生の末路
しかし、新卒採用の最終面接が行われていたときのこと。面接官を務めていた役員のAさんが、受付に来てこのようにおっしゃったのです。 「いつもお茶は出していないと思うんだけど、今面接している学生さんにお水出してあげてくれない? すごく緊張していてかわいそうで……。お水でも飲んで少しリラックスさせてあげられたらと思って」 Aさんは、普段から優しく、細やかな気遣いをされる方。部下からも慕われており、受付スタッフからも人気のある方でした。私はすぐにお水を用意し、会議室に届けました。 入室すると、タオルも持ってきた方がいいのではないかと思うくらい緊張で汗をかいている学生が目に入り、心配になる気持ちがすぐ伝わってきました。 「とっても緊張していてかわいそうでしょ?」「ちょっとお水でも飲んで、リラックスして」と学生に気さくに話しかけるAさん。私も、「おかわりが必要だったらいつでも言ってくださいね」と声をかけました。 面接が終わって帰っていく学生の表情はとても晴れやかになっており、あのお水で緊張がほぐれ、きっとしっかりと話せたんだろうなと思いました。 受付では改めて「Aさんは、本当に優しいよね。あんな面接官だったら絶対に一緒に働きたいって思うよね!私たちもお水何十杯でも持っていくよね」と盛り上がったものです。 ● 前代未聞! 「ガムを噛んで」受付に現れた学生 一方で、全くもって緊張感のない学生もいました。なんと、受付に到着したときにガムを噛んできたんです!! 受付キャリア10年超の私が、後にも先にも出会ったことのないシーン。思わず受付スタッフ同士、目を見合わせてしまいました。 ガムをくちゃくちゃと噛みながら受付票に記入する学生。普段は気にならない学校名も、その時ばかりは大注目してしまいました。 「この学校にはこんな非常識な学生がいるのか、残念……」と思った記憶があります。それと同時に、学生たちも学校を代表してきている、学校の看板を背負っていると思って就活してほしいなと思いました。 普段は学生の様子を人事担当に報告することはないのですが、その学生の件は私たちも思わず人事担当に報告しました。 面接の時とは180度態度が違ったようで、「なんと!面接だけでは分からないものだね。それはひどい。教えてくれてありがとう」と担当者からは大変感謝されました。 面接は受付から始まっているのです。いや、道中も面接の一環と思うくらいがいいかもしれません。