「警固界隈」福岡市・警固公園に集まる若者の「保健室」…大学教員や医師ら月1回開設「安心できる場所を」
九州最大の繁華街、福岡市・天神にある警固公園で若者の相談に応じる「保健室」が月1回、開設されている。公園に集まる若者らは「警固界隈」などと呼ばれ、支援を必要としているケースは少なくないという。開設する大学教員や医師らは悩みを気軽に相談できる場所づくりを目指している。(沢井友宏) 【写真】「保健室」は公園内に月1回、開設される
今月14日夜、クリスマスに向けたオブジェが飾られた警固公園内の安全安心センターに開設された「まちの保健室」。筑紫女学園大准教授の大西良さん(45)が訪れた女子高生(15)に優しく尋ねた。女子高生は「眠れているけど、疲れやすい」と応じ、最近の身の回りの出来事を話していた。
これまでに何度か足を運び、家族のことや進路の不安などについて打ち明けたという女子高生は「話を聞いてもらえるだけ安心できる。ここがあるから頑張れる」と話す。1時間ほど社会福祉士の相談員らとおしゃべりしていた。
公園では、未成年の深夜徘徊や飲酒のほか、市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)行為も確認されている。公園でつながった若者たちが強盗致傷事件を起こしたケースもあった。そんな公園内に、今年9月に開設されたのが「まちの保健室」だ。
大西さんや飯塚病院の小児科医、田中祥一朗さん(47)らのグループが運営しており、毎月第2土曜の午後6~9時に開設される。相談は無料で、若者が直接訪れることもあれば、公園内での夜回りによる声かけが相談につながることもある。
大西さんは2019年頃から定期的に公園を夜回りしてきたが、低年齢化が進み、精神的に不安定な若者が増えていることに気がついた。「オーバードーズといった行為に至るまでのつらい感情を少しでも軽減できる場をつくりたい」と開設理由を説明する。毎回、訪れる若者は増えており、14日は20人近くが足を運んだ。
家族や友人との関係、勉強など相談は多岐
相談内容は、家族や友人との関係、勉強など多岐にわたる。
2か月ほど前には、グループでいた若者に声かけした際、1人の少年から「保健室」で相談を受けた。性病に罹患した少年が副作用などへの懸念から薬の服用をためらっていた。そこで、田中さんが安全性や服用の大切さをわかりやすく説明。少年はホッとした表情で帰路についたという。