元教諭の勝訴が確定 懲戒免職処分の取り消し訴訟 最高裁、長崎県の上告受理せず
長崎県立小浜高ボクシング部で指導中にけがをしたと偽り公務災害認定を請求し、療養補償費を不正受給したとして懲戒免職処分を受けた元教諭(63)が、長崎県に処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は県の上告を受理しない決定をした。20日付。処分理由を事実誤認とする元教諭の訴えを認めた一、二審判決が確定した。 裁判官4人全員一致の決定。決定を受け、元教諭は「汚名返上や名誉回復に向けてやってきた。主張が正義であり、事実であると認められ、とてもうれしく思う」と話した。 元教諭は同校ボクシング部顧問だった2013年7月、部活動指導中に生徒からパンチを受け右目にけがを負ったとして、公務災害認定を請求。基金から療養補償費約120万円を受け取った。県教委は14年12月、外部から情報提供を受けて調査。生徒らがパンチを否定したことから虚偽申請と判断し、15年7月に懲戒免職処分とした。 一審長崎地裁、二審福岡高裁判決は、生徒の証言について「変遷があり信ぴょう性に乏しい」などとして県教委の処分理由を事実誤認と判断していた。 元教諭は今後、懲戒処分を受けて日本ボクシング連盟が下した除名処分の取り下げを求める方針。定年を迎えているが、再任用職員として現場復帰への思いもあるという。 県教委は「今回の決定を厳粛に受け止め、元教諭に真摯(しんし)に対応していきたい」とコメントした。