岡田太郎社長『スターダムの現状と未来』電撃就任から選手離脱を振り返り「逆風の中でも信頼関係の構築に尽力」
「できる限り早くスターダムが女子プロレスとして東京ドーム大会をしたい」
②今後の経営方針 ーー今後の経営方針で団体の見つめる方向性は、今言える範囲で何かありますでしょうか。 就任後すぐはできるだけ売り上げを落とさずに利益を確保すると声明を出していました。しかし半年以上やってみて、旧体制で営業利益、経常利益が上がっていたものの、実はホームページや動画配信サイトなど、見えないところのシステムバージョンアップが遅れていました。今は業績優先で利益を出し続けて何とかするよりは、赤字にならない範囲でしっかりとシステムをきちんとアップデートして、今後の売上増に耐えられる体制をしっかり作ってくことの方が今の会社に必要な方針だと思います。今は無駄な経費を抑えて、売上を下げないようにしていきながら、投資もしっかりする。その投資が実を結んだころに、売上も利益も大きくなるような進化をしていくのが理想の計画です。今はその手前の経営方針で、就任当初に打ち出した方針とと少し変わったところですね。 ――中長期的に見ると、初期改善のかけるコストはかかるけども、長期的に見ればプラスになっていくという判断のもとでやっているということですよね。 今後も人力でやっていたら大きなミスや人的コスト、時間的コストになるところをしっかり減らせるような対策をしていくというのが今見つめているところです。 ――上場企業のグループですので、やはり業績利益優先みたいなところがありますが、中長期でやっていくという方針は、長くお客様に満足してもらえるコンテンツやプラットフォームが作られるということですので、ファン目線で見てもすごくいいことだと思います。 幸いなことに、新日本プロレスの子会社になったことで新日本のノウハウを借りて改善することをより密にできるのではないかと思います。 ――新日本プロレスの決算を拝見しましたが好調ですね。 新日本から学ぶばかりではなく、どちらにも必要な人材やシステムなどがあるというところは、スターダムやブシロードのノウハウで新日本も改善できるところに着手します。大きくまとめてスポーツユニット、プロレス部門として見られるのが、すごいいいことだなと思っています。 ――そういう意味では、今後改善したいポイントは今言っていただいた部分と共通しますか。 そうですね。プロレス業界は旧態依然としたところがあると思います。まずは、この改善を新日本と二人三脚でやっていきたいです。新日本にも変えなきゃいけないところがあって、これを両団体が融合して、どうやって一緒に課題を解決していくかというのが組織的なポイントです。 ――棚橋社長と岡田社長はいろんな話し合いをされますか。 目に見えるところではスターダムの試合やイベントに棚橋社長が来てくださって、リング上でアピールしていただいたり、サプライズで登場!みたいなことをやったりしています。そうすることで、選手やお客様に、一緒にやっているなという印象を持っていただけると思います。棚橋社長とはいろいろな話もしますし、会社のシステムのことだと、「これどうなっているの?」など聞かれることもあります。棚橋社長から教わることは、やはり選手の気持ちや、プロレスとは何か、プロレスをやっていくうえで気をつけた方がいいことなどを教わっています。あとは先日株主総会があったのですが、新日本の松本副社長も一緒になって、株主様からの質問に返答も行いました。スターダムと新日本でギブアンドテイクが良い形でできていて、菅林会長と松本副社長も含めて良い関係ができていると思っています。 ――今の新日本、スターダムの連携が、盤石に近くなってきているという感じですね。これからやらなければならないことなど、ご自身の中で課題はありますか。 組織の後進の育成です。選手やスタッフ含め、その場のその場の対応はすごくできています。しかし、その一歩先、3ヶ月先、半年先、1年先、5年先を見ることのできる選手や選手出身のフロント、社員などを今から意識して育てていくことは絶対にやらなきゃいけないと考えています。 ――確かにそうですね。すごく大事ですね。 あとは会社の経営は何ヵ年で、例えば5年後にこれくらいいってほしいとか、時代の状況を考えると、1年後この手法が通じなくなる2年後、3年後はこれでいこう、ということがあると思います。選手は、今を全力で闘うだけでなく、そこからもう一段上がって全体を見て、自分と団体、業界を上げていくというところを意識付けないと、他のコンテンツに負けてしまうと考えています。例えば野球選手は、野球だけやっていればいい時代ではないですよね。テレビやイベントに出て、新しいファンの開拓をしたり、子供たちに夢を与えたり、野球界全体のためにいろいろなことやっていると思います。選手自身が未来志向でものを考えれば、プロレス業界ももっと大きくなっていくと考えています。 ――練習生や新メンバーの加入は、今後どのような感じなのですか。 今年も練習生の募集をしていて、オーディションをして合格者と連絡も取っています。すでに入寮している練習生もいますので、今後デビューは増えてくると思います。また、よそですでにデビューしている選手が、もしスターダムに入りたいということがあれば、門は開いています。ただ、契約状況だけはしっかり確認したいですね(笑)。 ーー今後の大きな目標は何かありますか? 今後、できる限り早くスターダムが女子プロレスとして東京ドーム大会をしたいと思っています。 ーーそれはビッグな目標ですね!女子プロレス単独興行、夢が広がりますね。 終電までには終わらせられるように頑張ります! ーーすごく大事ですね(笑) ③他団体との外交政策 ――今スターダムの選手が他団体に派遣されていますがスターダムの選手が他団体で見られる嬉しさも感じていると思います。選手からしても、リフレッシュした気分で試合にも出ているのではないかと思うのですが、このあたりの外交政策はいかがでしょうか。 交流を始めた時期には良い言葉もお叱りの言葉もいただいていました。しかし、どこでもなんでも外交したいわけではないです。来たオファーに関して面白いものは受けます。先ほど言っていただいたように、選手の体は疲れるけれど気持ちがリフレッシュするというのが他団体参戦のメリットでもあります。面白くて成長に繋がるものであれば、積極的にこれからもやっていきます。ただスケジュールを見て、スターダムの本戦をしっかりやったうえでやると。あとはスターダムの本戦でも、同じ選手がずっと出すぎると新鮮味がなくなってしまいます。ですので、選手がこの期間は東京で他の団体で、この期間は休みでというように、毎回全員が出る状況を少しずつ減らしていけたらと思っています。 ――そういう部分でも、選手自身がモチベーションの維持や気持ちの切り替えになりやすいかもしれないですね。 今36人だとして、これで6試合組みましょうとなったら、1試合6人ですので、全部3対3になりますよね。所属でこれだけ成り立つのは恐らく当社だけだと思います。しかし、所属だけでやっていても景色が変わらないです。年間120試合やっていますので、ここは今後の団体運営において調整していきたいと考えています。