40歳を過ぎたら記憶の低下「ブレインフォグ」に注意!更年期に起こりやすい原因と対処法を解説
更年期の認知機能低下が仕事に与える影響
認知機能の低下といってもわずかなもので、職場におけるパフォーマンスも通常は正常な範囲に収まるけれど、子育てが落ち着いて、経験的にも年齢的にも「これから」というタイミングで更年期の症状が出てしまい、出鼻をくじかれる女性は多い。 更年期の症状が仕事に及ぼす影響に注目する研究者は増えており、いくつかの結果は、更年期の症状で職場における生産性と満足度が低下する可能性を示している。 その要因の1つとして挙げられるのが集中力と記憶力の低下。更年期の女性を職場にとどめておくのは、彼女たち自身のためにも、現代の職場における多様性を広げるためにも重要なこと。
ブレインフォグが起こる仕組み
“ブレインフォグ”は医学用語でも心理学用語でもないけれど、更年期の“思考にモヤがかかった状態”を適切に表現する一般用語。 更年期で認知機能が低下するのは、単に歳をとったからじゃない。閉経に伴って卵巣ホルモンの分泌量が減り、最終的に失われることが主な要因。 卵巣から分泌されるエストラジオール(エストロゲンの一種)とプロゲステロンは強力な脳内化学物質で、脳を守り、思考力と記憶力を高めるとされている。ゆえにエストラジオールの減少と喪失は、認知機能の低下につながるといわれている。 ほかの更年期の症状が一切なくても、認知機能の低下が見られることはある。よって、認知機能の低下は、ほかの更年期の症状が引き起こすものじゃない。とはいえ、更年期のうつ、不安、不眠、血管運動症状が認知機能の低下を促す可能性は否定できない。
ブレインフォグとアルツハイマー病の違い
アルツハイマー病は認知症のもっとも一般的な形態で、残念ながら、女性であること自体がリスクファクター。これは女性の寿命が男性より長いからじゃない。 原因は、閉経に伴うエストラジオールの喪失。これまでの研究により、手術による45歳以前の早期閉経は、認知症のリスクを高め、認知機能の低下を加速させることが分かっているそう。 更年期とアルツハイマー病の初期ではもの忘れや発話流ちょう性の低下といった似たような症状が現れるため、更年期の女性の多くは認知症を懸念する。 でも、65歳以前で始まる若年性認知症は家族歴がある場合を除き、非常に稀。更年期でもの忘れをはじめとする認知機能の低下が見られるのは、よくあることだし、いたって普通のことだ。