経済学者・岩井克人氏が明かす『リーマンの牢獄』は何が凄いのか…2024年最大の問題ノンフィクションを巡って
---------- 今年最大の問題ノンフィクション『リーマンの牢獄』が、いよいよ5月16日に発売される。 【本人写真】批判は覚悟している…リーマンから371億円を騙し取り、懲役15年 現代ビジネスでも、ジャーナリスト・伊藤博敏氏による著者へのインタビュー《批判は覚悟している…リーマンから371億円を騙し取り、懲役15年を食らった男が獄中で綴った「書籍の中身」》や、内容の先行公開《GSとリーマン 投資ファンドを手玉に取る手口を教えよう…『リーマンの牢獄』が出版前からヤバすぎる理由》などで報じてきた。書籍の発売前に、本書を読んだ経済学者・岩井克人氏からの推薦のことばが届いたので、それをご紹介しよう。 ---------- ある大商社の資金保証という虚構を種として、リーマン日本法人から371億円という巨額な出資を引き出すが、その焦げ付きがきっかけとなって、米国リーマン本社が倒産してしまう。全世界を大不況に陥れたあのリーマン・ショックの引き金を期せずして引いてしまった齋藤栄功氏の告白録。 山一証券から始まり、蔵相秘書、都民信金、医療機関、丸紅、メリルリンチ、ゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズなどを次々と巻き込んでいくその活動の軌跡は、闇の女たちや高級車とも交差し、10億円入りのスーツケース、東京地検特捜部、海外逃亡、逮捕、報道カメラのフラッシュ、拘置所、裁判へと一気に降下し、14年にもわたる牢獄生活に至ってしまう。 80年代のバブルの狂乱からその崩壊を経て、失われた30年に入ってしまう日本経済。マクロの視点からは繰り返し語られてきたこの現代経済史を、ミクロの視点から小説のように語ってくれるこの告白録を読むことは、金融とは何かを改めて考えることにもなる。 金融とは実体経済上に積み重ねられた精緻な仕組みであるが、その仕組みを実体経済に繋ぎ留めておくためには、たった一切れでも良いから、その中で活動している個人の倫理性が不可欠であるということを。 《関連記事》批判は覚悟している…リーマンから371億円を騙し取り、懲役15年を食らった男が獄中で綴った「書籍の中身」
岩井 克人(経済学者 神奈川大学特別招聘教授、東京大学名誉教授)/現代ビジネス編集部
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