「遺体はすでに硬直し、足は曲がったままで…」秋田でクマに襲われ死亡した男性の「第一発見者」が明かす「恐怖の現場」
佐藤さんが殺害された現場
この時期に旬を迎えるタケノコは、笹薮の根元にあります。生い茂った笹薮はクマの姿を完全に隠してしまいます。この時期の腹を空かせたクマにとって、タケノコは主な食い物ですし、笹薮がやつらの生活圏なのです。 タケノコを採るということは、やつらの棲家に無断で入り、やつらの餌を勝手に採るようなものなのです。 腰を屈めてタケノコを採っていると周囲の視界を遮られ、自分がどこにいるのかわからなくなります。夢中で採っているものだから、獣臭に気がつくのが遅れたり、指先にまだ新しい糞が触れることもあります。 新しい糞があるということは、間違いなく「自分の近くにいる」ということです。危険度は大いに増します。彼らの縄張りを侵したということになるのです。すぐに退避すべきですし、笹薮が不自然に圧迫されていたり、近くの木の枝が折れていたりするなどサインを見逃さないことが彼らを刺激せずに長く続けるコツなのです。 佐藤さんと私はここ14~15年ほど、ともに山に入ることが多かったです。山には人が食べることのできる山菜やキノコ類、薬の原料となる樹木などがあり、それらを採取するために、ふだんから山に入る生活を続けていました。 今回、佐藤さんが殺された現場には、タケノコの成長を確認するため、5月11日にも二人で入っています。いつ、どこに何が生えているのかなど、よく知っていた場所でもありました。 そのわずか4日後、ここで悲劇が起きてしまう。はたしてその一部始終とは――。 つづく記事『秋田でクマに襲われ、命を落とした男性の「死の瞬間」…遺体の「第一発見者」は“最期の声”を聞いていた! 』では、Aさんが、クマに襲われる直前の佐藤さんと交わしていたやりとりなどについて、紹介します。
野田 洋人