「台湾の半導体チップに課税」「防衛コストを払え」…!トランプ当選で台湾を覆う「大いなる不安」の中身
バイデンとの落差はあまりに大きい
11月5日に投開票が行われた米大統領選挙で、共和党のトランプ候補が民主党のハリス候補を抑え、第47代大統領に当選した。 【写真】中国を激怒させた台湾新総統の「許しがたい演説」と台湾人の「脅迫慣れ」 2016年にトランプ氏が初当選したときは、従来の慣例を打ち破って就任前に当時の蔡英文総統と電話で話したこともあり、台湾では「トランプびいき」の傾向があった。実際、第一次トランプ政権の間は、米中貿易摩擦が激化する中で、台湾に新型のF-16戦闘機66機の売却を決めるなど、米国の台湾に対する友好的な態度が目立ち、2020年にトランプ氏がバイデン氏に敗れた際は残念がる声も多かった。 ところが今回の選挙ではむしろ投票前から優勢が伝えられたトランプ氏の当選を不安がる人が多く、投開票翌日6日午前から米大統領選関連のグーグル検索数が急増し、特に「トランプ当選の影響」というキーワード検索数は1000%の増加となった(BBC中文、11月7日「特朗普勝選美國總統:台灣面臨的挑戰與機遇」参照)。 なぜ4年前と現在でこうした違いが出たかというと、最近のトランプ氏による台湾に関しての断片的な発言の数々が背景にある。今年7月にはブルームバーグのインタビューの中で、「台湾は防衛のコストをわれわれに払うべきだ」と述べた(Bloombuerg、7月17日「Watch Trump Suggests Taiwan Should Pay US for Protection」参照)。10月には「台湾はGDPの10%を国防費に充てるべきだ」と要求(INDEPENDENT、10月2日「Trump says Taiwan should spend more on defence – while it waits for $20bn of US weapons」参照)した他、「台湾は米国の半導体産業を盗んだ」とも発言した(CNBC、10月28日「Trump accuses Taiwan of stealing U.S. chip industry. Here’s what the election could bring」参照)。 いずれも選挙期間中の発言であり、文字通り受け取る必要はないかもしれないが、台湾に対して非友好的な内容ばかりで、「台湾を守る」と何度も発言してきたバイデン現大統領との落差はあまりにも大きい。