稲垣吾郎「<新しい地図>を結成して7年、僕自身のあり方は変わらない。日常では70%がちょうどいい、ゆるさが心と体の健やかさに繋がっている」
◆4度目となるベートーヴェンに挑む そんな僕とは真逆の性分といえるのが、12月からの舞台『No.9 ―不滅の旋律―』で僕の演じるベートーヴェンかもしれませんね。同作で彼を演じるのは、今回で4度目。再演が決まった時は素直に嬉しかったです。 この作品については、「テレビをリモコンでオフにしても主電源は抜かない」みたいな感覚がずっとあったので、ようやくまたこの日を迎えられたなという喜びがあります。 上演時間は約3時間ですが、僕が演じるベートーヴェンはとにかく出ずっぱり。出ていない部分は10分くらいしかないんです。しかも怒っているシーンが多い(笑)。素の僕はそういう性質じゃないので、熱が下がらない感じに体がビックリしていますが、非日常感があってそれはそれで楽しくて。 ベートーヴェンの人間性については、気難しい人だったとか、急に怒り出して物を壊したなどと言われていますが、実際どんな人間だったか、本当のところはわかりません。解明することはできない以上、想像の中でやっていくしかないんですよね。 もともとの繊細さはあったにせよ、彼があそこまで気難しくなったのには、病気で耳が聞こえなくなったことも影響しているはず。若い頃は人付き合いがよく、冗談を言ったりして社交的な人だったとも言われていますから、そういう意味ではすごく人間臭い人だと思いますし、親しみを感じます。 特にこの舞台では、素直でチャーミングな人に描かれるところが多いので、より人間らしさを感じるのかもしれません。 普段の言動も、僕だったら恥ずかしくて隠してしまうことも、彼はむき出しにするんですよね。普通なら周囲の目を気にして小さく収まってしまうのに、彼はそうではない。 音楽がすべてだから周囲に何を思われようと頓着しなかったのかもしれませんが、そんなふうに感情がむき出しになっているところが可愛いですし、僕には魅力的に映ります。
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