【40代・50代のビタミンD活】ビタミンDが骨の強度を左右する! 閉経前後からは骨粗しょう症と骨軟化症(くる病)に注意して
最近になって、ようやく注目されだしたビタミンDだが、早くからわかっていたのはカルシウムの吸収を助け、骨を強くする役目。ビタミンDの欠乏は、気になる骨粗しょう症だけでなく、くる病や骨軟化症につながる。守り神の女性ホルモンが減り、骨が弱くなる更年期世代。ビタミンDと骨の関係を今一度しっかり把握しよう!
あなたも『アルプスの少女ハイジ』のクララに!?
ビタミンDは、骨の健康を維持するのになくてはならない栄養素だ。骨というと、まずカルシウムを思い浮かべるが、それはビタミンDの助けがあってこそ。 「ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するので、ビタミンDが不足するとカルシウムも欠乏し、骨の強度が維持できなくなります。子どもなら骨の変形、筋力低下などが起こる『くる病』、大人では成人のくる病といえる『骨軟化症』、そして骨がもろくなる『骨粗しょう症』の原因になります。 骨の代謝は女性ホルモンの影響を受けるため、骨粗しょう症が更年期以降に急増するのは皆さんも知っていますよね。でも最近、日本では昭和の病気と思われていた、くる病や骨軟化症も増えているんです。それは、前回までにお話ししたように、日本人が紫外線をガードしすぎてビタミンDをつくれなくなっているのが理由でしょう。 とてもわかりやすい例として『アルプスの少女ハイジ』に出てくるクララがいます。彼女は車椅子に乗っていますが、ビタミンD欠乏による、くる病だったという説が有力。ハイジとともにアルプスで過ごすうちに立てるようになったのは、ビタミンDが充足したからに間違いないですね」 と解説してくれるのは、ビタミンDに詳しい医師の斎藤糧三さん。早くからビタミンD関連の本を出し、クリニックではビタミンDの血中濃度検査なども実施している。
『アルプスの少女ハイジ』は19世紀末の物語。舞台はスイスの山小屋と、ドイツの都会フランクフルトだ。当時のヨーロッパは産業革命の真っただ中で、クララが住むフランクフルトは工業化が進み、大気汚染のために日光がさえぎられるほど。地表に紫外線UVB波が届かない環境だったと推測される。 そこで育ったクララは、足が悪く車椅子生活を送っている。紫外線を浴びることがないので色白だが、その分、皮膚でビタミンDをつくることができず、確実にビタミンD欠乏。骨変形と筋力低下が進んだくる病だったと推測される。 「しかも、クララのあのツンツンした雰囲気はマグネシウム欠乏でしょう。ビタミンDはカルシウムだけでなくマグネシウムの吸収もサポートします。神経が安定しないイライラは、マグネシウムの欠乏症状でもあります。 ハイジと一緒にアルプスの山小屋で過ごすうち、日光をたっぷり浴びて皮膚でビタミンDをつくり出せるようになった。しかもヤギの乳やチーズなどを食べてカルシウムもタンパク質もばっちり。骨も筋肉も丈夫にしっかり成長して、ついには『クララが立った』となるんです」 「サンシャインビタミン」とも呼ばれるビタミンD。現代の日本人は、大気汚染ではなく「紫外線は有害」と過剰に信じた結果、98%がビタミンD不足(注1)という結果に。 (注1)The Journal of Nutrition誌Volume 153, Issue 4, p1253 日焼け止めを手放さず、日傘にアームカバーで紫外線をがっちりガードしている人は、ビタミンD欠乏に向かってまっしぐらであることを自覚したいものだ。 1日に必要なビタミンDの量は連載第3回<【40代・50代のビタミンD活】毎日コツコツ「ビタミンD活」で病気予防! では、ビタミンDの働きと摂取目安量って?>を参考に。