米国の中古車雑誌の片隅で見つけた1/337台【3】当時の日の丸企業が結集した産物、トヨタ2000GT
シリーズ:米国の中古車雑誌の片隅で見つけた1/337台。 中華街を駆け抜けた左ハンドルの2000GT【3】1969年式 トヨタ 2000GT 【画像18枚】ボンネットの両端にはエンジンルームの熱気を抜くためのスリットが設けられている。砲弾形のフェンダーミラーは角度調整できる部分がミラーを除きメッキ処理されている。フェンダーミラーの下で、両サイドスリット部の真上中央に付けられているのが七宝焼エンブレム 日産でボツになったA550Xをヤマハから買ったとか、アルブレヒト・ゲイツがデザインしたなどトヨタに対するネガティブな噂の絶えないクルマであるが、そもそもバイクのメーカーであるヤマハがトヨタも日産も作ることができない2000GTのような市販のスポーツカーを作り上げたとすると、そのルーツにこそ疑問を持たなければならないだろう。 ゲイツ氏については『ノスタルジックヒーロー』Vol.61の107ページに掲載のインタビューにあるように影響を与えた可能性はあるが、実際に関わった事実はないというのが真相のようだ。 もちろんゲイツ氏の言葉だけが真実とは限らないないが、エンジンはもともとトヨタが熟成を重ねていたエンジンを改良し、トヨタ2000GT用に設計し直した3M。シャシーは本文にも記述したように高速道路を使ったRT40コロナのテストで得られたノウハウを生かしたもの。 デザインは独自性や個性を生かすためひとりで自由に行ったとデザイナーの野崎喩氏が本誌で語っている。 また、設計は日本の各企業が分担で行った。基本設計はトヨタ、エンジンのチューニング、デフケースやフレームはヤマハ、サスペンションやステアリングはトヨタとヤマハの共同作業、ミッション、ブースターはアイシン、ブレーキは住友電工、マグネシウムホイールは神戸製鋼など、まさに当時の日の丸企業が結集した産物がトヨタ2000GTであった。 世界に名を馳せた国産名車にトヨタだ、ヤマハだ、日産だという議論は無粋だ。 Specifications 主要諸元 1969年式 トヨタ 2000GT ●全長4175mm ●全幅1600mm ●全高1160mm ●ホイールベース2330mm ●トレッド前後とも1300mm ●最低地上高155mm ●室内長720mm ●室内幅1430mm ●室内高950mm ●車両重量1120kg ●乗員定員2名 ●登坂能力tanθ0.567 ●最小回転半径5.0m ●エンジン型式3M型 ●エンジン種類水冷直列6気筒DOHC ●総排気量1988cc ●ボア×ストローク75.0×75.0㎜ ●圧縮比8.4:1 ●最高出力150ps/6000rpm ●最大トルク18.0kg-m/5000rpm ●変速比1速3.143/2速1.636/3速1.179/4速1.000/5速0.844/後退3.238 ●最終減速比4.375 ●燃料タンク容量60L ●ステアリング形式リサーキュレーティングボール ●サスペンション前後ともWウイッシュボーン/コイル ●ブレーキ前後ともディスク ●タイヤ前後とも165HR15 ●発売当時価格238.5万円 初出:ノスタルジックヒーロー 2011年 04月号 vol.144 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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