元幹部逮捕で激震続き「日本PTA全国協議会」の闇 文科省が距離を置く?内閣府から勧告もあった
「暗躍するOBの存在」と「組織としての自浄作用の欠如」
ところが、2024年7月。事態は急転した。 2018年から日Pの理事などを務め、さいたま市PTA協議会元会長でもある青羽章仁被告が、日P会館の修繕工事費を巡る背任容疑で逮捕=業務上横領、背任罪で起訴=されたのだ。 起訴状によると、青羽被告は、2022年8月~2023年1月、日P会館の雨漏り修繕工事にからみ、自らの利益を得る目的で工務店に代金を水増し請求させ、本来の見積価格は約670万円だったにもかかわらず、日Pに約1200万円の損害を与えたとされる。 さらに同月。金田氏がハラスメントを行っていたとみられていた事務職員と事務局長が、逮捕前に出入り禁止になっていたはずの青羽被告を日常的に事務局に出入りさせ、新たに135万円の不正支出を生んだとして懲戒解雇された。 これはいったいどういうことなのか。 2023年9月の後藤会長取材の時点で、日P内部では、青羽被告の背任にうすうす気づいていたのではないか。 同じく9月の取材時に資料として取材陣に配布され、金田氏から事務職員へのハラスメントについての記述も含まれた文書「金田氏解職までの経緯」の内容は、虚偽だったのか。 事の詳細を確かめるべく、金田淳氏に話を聞くと、日Pの「闇」が浮かびあがってきた。「闇」とは「暗躍するOBの存在」と「組織としての自浄作用の欠如」だ。 金田氏は栃木県PTA連合会の会長、日Pの専務理事を経て2022年度に日Pの会長に就任。これまでの日Pの旧態依然とした体制を刷新したいという思いから、新体制のスタートにあたり「発信力の強化」「情報連絡機関としての役割強化」「PTAを取り巻く課題の検討」「組織の透明化」「PTA会員の皆さまから意見を集約するシステムを構築する」など「改革10か条」を掲げ、所信表明を行った。 「内容としては当たり前のものです。ただ、これまで当たり前のことができていないと思ったので、改めて示しました。これまでの日Pの体質を知っている人からは、『やっとこのように考えるリーダーが出てきてよかったです』と喜ばれました」(金田氏、以下同じ) 一方で、青羽被告は2018年から日Pの理事などを務め、事務局を事実上統括し、不正会計にからんでいたとみられる。 金田氏は、翌年の2023年度も日P会長に再選。2023年6月の総会で、2022年度の赤字が約5000万円計上されたことが報告され、「私自身もずっとおかしいと思っていた日P会館修繕費約2000万円について、徹底的に原因を究明することを約束しました」。 だが、翌7月、金田氏は、事務局職員に対するパワハラを理由に、突然会長職を解職された。金田氏は言う。 「なぜこのような事態になったのか、その理由は明白です。かつて日Pで要職を歴任したOBたちが、いまだに組織に強い影響力を行使しているからです。彼らは『日Pの要職だった』という自負を捨てきれず、名誉や地位にしがみついています。報酬の有無については定かではありませんが、いわゆる“あて職”として、日P引退後も関連協議会や一般社団法人の理事、大学の経営協議会の委員などを務めているだけでなく、現日Pの会長、専務理事、常務理事の人事に口を出し、自分たちに都合のよい人材を送り込もうとしているのです」 さらに、こう続ける。 「私が2022年度の赤字問題を追及しようとした時点で、不正を隠蔽したい青羽被告、改革の風潮を快く思っていないOB、権力を手に入れたい当時副会長だった後藤氏の利害が一致してハラスメントをでっちあげ、解職に追いやったとみています。さらに、事務局が、不正の疑いのある青羽氏を出入りさせ続けていたことでさらなる不正支出を生み、問題を大きくしました。これにより、自浄作用が働かない日Pの現状が露呈されました。図らずも、青羽被告の不正の隠蔽に組織として加担した構図になっているのではないでしょうか」 2023年9月、後藤会長から聞いた言葉と現実とのギャップに、言葉が出ない。 金田氏は現在、「事実無根のパワハラ認定により精神的苦痛を受けた」として、日Pを相手に民事訴訟を起こしている。