監督の「いいね」がうれしくて 磨いた直球で奪三振 玄界の平田投手
(29日、第106回全国高校野球選手権福岡大会2回戦、北九州4―0玄界) 「先生と磨いたストレートで抑えたい」。六回裏、追加の3点を奪われ、なお1死二塁。玄界のエース・平田晏士(あんじ)投手(3年)は、フルカウントから思い切り腕を振った。切れのよい直球がミットに収まり、三振。続く打者も打ち取り、ピンチをしのいだ。 【写真】北九州―玄界 玄界の先発平田晏士投手=2024年6月29日午後2時24分、北九州市民、池田良撮影 中学では3番手投手で、「自信がなかった」。満足できる球が投げられない日々で、野球が嫌いになりそうだった。 進学先の玄界では「野球をしない」。そう思っていたが、親や友人の勧めで仮入部すると、西村賢治監督とキャッチボールをすることに。球の回転は悪く、のびもない、と自分では感じたが、「投げ方がいいね」とほめられた。うれしくて、もう一度、頑張ることにした。 球の握り方から、西村監督が教えてくれた。「体が小さくても、球威で抑えられるように」と体力作りの助言を受け、毎日の腕立て伏せなどで鍛えた。身長168センチの今、「直球が武器」と胸をはれる。 5月に肩を痛め、この日は本調子からほど遠く、4失点。試合後は悔し涙をタオルでぬぐい続けた。このままでは終われない。「直球をさらに磨き、140キロを投げたい」。大学で野球を続ける、と決めている。(太田悠斗、山本達洋)
朝日新聞社