市長には土建業者から「多額献金」が…!北海道釧路市「メガソーラー激増」の知られざる背景
釧路市内を車で走っていると、雄大な湿原のなかに、突如として太陽光パネルの海が現れる。なぜ、釧路なのか。なぜ、外資系業者の参入を止められないのか。住民、土建業者、市長、徹底取材した。 【一覧】大地震&大雨で「災害が起こりやすい」26のあぶない地名 前編記事『市の職員は「把握しきれない数です」とポツリ…!止まらない「メガソーラー開発」、外資系企業が釧路に群がる「裏事情」』より続く。
言い出したのは小泉進次郎
開発によって災害リスクも高まるとして、今年5月には地元住民が2万人の署名と計画中止を求める要望書を市長に提出した。音別町で歯科医院を経営する村上有二氏は、こう怒りを露にする。 「日本海溝・千島海溝沿い地震の想定津波高は20mを超えますが、メガソーラーの計画場所は津波災害警戒区域なのです。もし津波が起きてパネルが湿原に散乱すれば回収はほぼ不可能だし、パネルから火災が起きた場合には消防のアクセス道路がありません。大雨時の増水で湿原の中を走るJR根室線が脱線する危険性もあります。 しかし、開発を進める外資系企業はメガソーラーを投機対象としか考えておらず、さまざまなリスクを考慮していない。しかも、そうして発電された電気を使うのは、都市部の人たちなのです」 村上氏ら住民たちは、「そもそも国立公園内にメガソーラーを作ると言い出したのは小泉進次郎です」と憤る。進次郎氏が環境大臣だった'20年に、国立公園内で再生可能エネルギー発電所の設置を進める規制緩和を打ち出したことが、開発を加速させたというのだ。 太陽光発電の強引な工事はほかの場所でも起きている。市街地から30kmほど北西にある阿寒町に今年8月に完成したスペイン系事業者のメガソーラーは、事前の住民説明会もないまま民家の近くに建てられてしまい、住民が健康被害を受けた。 現地を訪れると、民家の真後ろに5000枚を超えるパネルが建っていた。住民は憤懣やるかたない様子でこう語る。
市長と地元土建業者の「関係」
「工事の際に鉄骨を打ち込む音がキンキンとうるさくて右耳が難聴になりました。2階の西側の部屋がパネルからの照り返しで暑くなってしまい、1階の部屋でエアコンをつけて寝ている。文句を言ったら業者から恫喝され、排水路を私たちの家の水路に繋げようとするなどヒドイ嫌がらせを受けました。こんなことがあって良いのでしょうか」 こうした太陽光発電の負の側面を抑えるために釧路市では昨年、「釧路市自然と共生する太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」を作成し、さらに踏み込んだ規制を行うために条例化の作業も進めている。だが、今年9月に公表された条例案の骨子には、太陽光発電の抑制区域に肝心の「市街化調整区域」が含まれていないことがわかり、骨抜きの条例だと批判を浴びている。 背景には何があるのか。 4期目を務める釧路市の蝦名大也市長は、かねてから太陽光発電の規制に及び腰だと地元紙や環境保護関係者から批判されてきた。取材を進めると、市長と開発を進める地元土建業者の「癒着」を指摘する声も聞こえてくる。 「市長は太陽光に関わる地元土建業者のA社から多額の献金を受けていると言われている。そのため、強い姿勢で条例化に踏み切れないと囁かれているのです。こうした状況を地元紙は『支持基盤に配慮か』と報じ、市長が『太陽光を規制する条例を作るならA社の了承を得ないと』と言っているのを聞いた人もいます。 さらにA社と関係の深い市内の古参土地コンサルタント会社のB社が、外資を含めた多くの太陽光工事に絡んでいることも問題です。B社は土地取得に関する申請書類の偽造など、強引な行為を繰り返している」(道の行政関係者)