UDフォントって? ウェブフォント選定の極意!基本から最新トレンドまで徹底解説
表現の幅が高まるウェブフォント。使用時には注意が必要
ウェブフォントは、画像や動画と同じように、Webサーバーからフォントのデータがダウンロードされることで表示される。デバイスにインストールされていないフォントも使用できるため、表現の幅が広がり、ブランドの世界観を伝えやすくなる。かつてWebサイトでブランドのフォントを使いたいときは、画像にして掲載する必要があったため、掲載はもちろん、変更や修正にも手間と時間がかかっていた。しかし、ウェブフォントなら、普通のテキストと同じように修正ができるため、スムーズに更新がかなう。
メリットの大きいウェブフォントだが、決してデメリットがないわけではない。大木氏は、ウェブフォントを使用する際に注意すべきポイントとして、次の3点をあげた。 ■ 1. 日本語フォントはフォントデータが重くなりがち 日本語は文字数が圧倒的に多く、JIS第1水準の漢字だけでも2965字あり、アルファベットの大文字小文字記号で100文字程度と比べると30倍以上になる。また、文字の形が複雑であるために、1字あたりのデータサイズが大きくなる。GoogleとAdobeが共同開発した「Noto Sans JP Regular(WOFF2)」は約3.4MBにもなり、そのままではかなりダウンロードに時間がかかる。 そこで、ファイルサイズを圧縮したり、ファイルを細かく分割して必要分だけダウンロードしたり、最適化技術を駆使して通信量を抑える必要がある。すでにウェブフォント配信サービスでは、最小の通信量でフォントデータを使えるようにさまざまな方法を採用して工夫している。また、技術的には一般的な「.TTF」や「.OTF」ではなく、「WOFF/WOFF2(Web Open Font Format)」という特殊な形式に変換したり、使用頻度の低い文字を削除したりして、ファイルサイズを小さくすることも行われている。 ■ 2. フォントデータのライセンスと著作権に注意が必要 「フォントデータのライセンスと著作権の問題」も意識すべき注意ポイントの1つ。フォントデータをウェブフォントとして利用するとき、形式を変換したり文字を削除したりすれば、「データの改変」に該当する。さらにフォントデータをWebサーバーに配置することは、誰でもダウンロードできるようになるため「再配布」に当たる。これを禁止していたり、別途有料ライセンスの購入が必要だったりするケースも多く、注意が必要だ。 大木氏はアサヒビールのロゴマークについての訴訟事例をあげ、「書体の主な役割は情報伝達であり、商標権や意匠権、書道作品などの例外を除き、著作権が発生しないという判決が出ている。一方、フォントデータプログラムには著作権が発生するという、ちょっといびつな状態になっている。そのため改変や再配布を禁止しているフォントが多い」と解説した。 ■ 3. フォントの切り替え時に文字がちらつくことがある Webサイトでは、まずデバイス内のフォントで文字が表示され、ウェブフォントのダウンロードが完了したら切り替わるという仕組みだ。この切り替え時に、文字がちらついて見えることがあるため、ローディング画面を用意するなど、見せ方を工夫する必要がある。こうした技術的な解決ができないならば、ウェブフォントを使用しないほうが無難だろう。