【英国】不法移民対策などで協力強化 英・EUが首脳会談で合意
英国のスターマー首相は2日、ベルギー・ブリュッセルの欧州連合(EU)本部でフォンデアライエン欧州委員長と会談し、英・EU間の協力を強化することで合意した。ロシアのウクライナ侵攻や経済問題、不法移民対策などに共同で取り組み、「安定した前向きな関係」を築く方針が打ち出された。 両氏は会談後に出した共同声明で、ロシアのウクライナ侵攻などを受けた戦略見直しを共通の課題とするほか、経済的逆風、地政学的競争、不法移民、気候変動、エネルギー価格問題にも共同で取り組む方針を示した。加えて、EU離脱協定と「ウィンザー枠組み」、英・EU貿易協力協定を完全に実行し、国際法および欧州人権条約を順守することも確認した。 両氏は今後、定期的に英・EU首脳会議(サミット)を開くことで合意。最初のサミットは2025年前半に実施する方針を示している。 スターマー氏は訪問に先立ち、「ブレグジット時代に区切りを付け、より実用的で成熟した関係を築く」と抱負を語っていた。英国民にメリットをもたらす対EU関係を目指すとした上で、ヒトの移動の自由を伴うEUの単一市場や関税同盟には復帰しない方針を改めて示した。 また、フォンデアライエン氏は会談前の記者会見で、「国際情勢が不安定化する中、志を同じくする英国とEUはより緊密に協力する必要がある」とし、国際問題での協調がその土台となると語っていた。ただ、両者間にはすでにEU離脱協定などの確固たる合意があるとも指摘し、これらの合意を完全に実行する必要があるとくぎを刺していた。 スターマー氏はこの後、ミシェルEU大統領、欧州議会のメツォラ議長ともそれぞれ会談した。 同氏は7月の首相就任以降、フランスのマクロン大統領やドイツのショルツ首相、イタリアのメローニ首相らEU加盟国の首脳との会談を重ね、EUとの関係改善の意思を表明していた。