「MUSIC LOVES ART 2024 - MICUSRAT-」(海浜幕張周辺)レポート。音楽とアートをともに
アートイベント「MUSIC LOVES ART 2024 - MICUSRAT (マイクスラット) -」が、千葉・海浜幕張周辺で開催されている。会期は8月25日まで(大阪でも同時開催)。 本展は文化庁が音楽とアートの融合を図るプロジェクトで、音楽フェスティバル「SUMMER SONIC」や千葉市、周辺企業と連携して開催されているものだ。若手現代アーティストやアートプロジェクトとコラボレーションした作品が、SUMMER SONIC幕張会場や会場周辺、幕張ベイタウン等で展示されている(SUMMER SONIC幕張会場内の展示作品については、SUMMER SONICの入場券が必要)。 海浜幕張駅前では、スマートフォンで作品を制作するCOIN PARKING DELIVERYの 《五元気》を展示。かSUMMER SONICやアウトレットモールに向かう来訪者を迎えている。 海浜幕張駅と幕張メッセの中間にあるQVC本社では、草花をモチーフにした作品を制作するwitnessの《Spread Flowers》を壁面で展開。ビルの各窓に色とりどりの花をモチーフとした作品が設置され、さらに夜間はライトアップもされる。 幕張メッセ中央広場では海浜幕張駅前でも作品を展開するCOIN PARKING DELIVERYが、『機動戦士ガンダム』とコラボレーションした立体作品《遊びは悪じゃない》を展示。巨大なニッパーとブラモデルの箱から飛び出すデフォルメされたガンダムによって構成された本作は、作家が子供の頃に感じたガンプラの大きさを再現したもので、当時の感動や興奮を大人に思い出してもらうことを意図して制作された。なお、本作は24日、25日には幕張豊砂駅前の「とよすなうみかぜ広場」に場所を移して展示される。 SUMMER SONICの会場へと向かう階段では双子のアートユニット・HAMADARAKA(EruArizono/EmuArizono)の作品《ACCORDANCE》が展開。「あり得ない生き物や時間が混合する事によって生み出される楽園」や「この世とユートピアのあいだに存在する世界」を表現した。 SUMMER SONICの会場内となる幕張メッセ展示ホール9・10では、18日までSILVER SATAN (ART TRUCK)+DUVによる作品《NVOVU -ンモ"ユ"》を展示。 シルバーのパーツで装飾され、青白い光を放つデコトラの後方には大量のパイプイスを使用した構造物が展開。後ろに回ればモニターの映像作品や音声などを聴くことができる。 本作について、SILVER SATANの内藤久幹は次のように語った。「40年間、デコトラをつくり続けてきた。本作で大事にしているのは『よくわからないの向こう側を見つけに行く』ということ。『わからない』という印象、そこから生まれる気づきを大切に作品を制作した。デコトラのメタルボディは周囲のものすべてを映す。見方や考え方の違いによって変化する、世の中を映し出すような作品を目指した」。なお、本作は8月24日、幕張ベイタウンの夏祭り会場内へと展示場所が移される。 文化庁が主催するSUMMER SONICと連携した幕張新都心の夏のアートイベントは今回で3回目を迎えた。この街にアートが定着するためにも、さらなる展開を期待したくなるイベントだ。
文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)