大久保佳代子さんも感動!『光る君へ』扇を使った雅な遊びや京舞の至芸。まひろの檜扇のルーツとは?『源氏物語』の世界にふれる
◆「おいどを下ろす」に大久保さんの悲鳴が 「感情を内に秘め、上品に舞う」「目線のつくり方で、物語を見せる」など、ポイントを絞ったお稽古のなかで、大久保さんがもっとも苦心したのが、「おいど(腰)を下ろす」という基本姿勢です。 前かがみにならないよう、上半身はまっすぐ伸ばしたまま、ひざを曲げて、おいどを下ろす。筋力を必要とする難しい姿勢ですが、これが美しい身体表現につながるとか。 その姿勢を保ったまま、すり足で一歩前へ出ようとしたところ、「痛い、痛い、痛い!」と悲痛な声が。お稽古終盤には、「できません、先生……」と、涙目で訴えた大久保さん。「これまでの“お稽古”のなかで、いちばんキツかった」と嘆いたほど。その奮闘ぶりは、必見です。 また、超一流の芸がじっくり鑑賞できることも、この番組の見どころのひとつでしょう。今回登場したのは、井上流五世家元、井上八千代さんの京舞です。 舞うのは、『源氏物語』を題材にした地唄「蓬生(よもぎう)」。ヨモギが生い茂るほど荒れ果てた家で、一途に自分を待ち続ける末摘花のけなげさに、光源氏が心打たれるという物語です。 京舞では、末摘花と光源氏を一人で舞い分けるとか。男女の違いを舞でどう表すのか、その至芸を堪能できる贅沢な時間となるはず。舞には欠かせない、扇の使い方にも注目です。 「古典芸能の扉を開く」と謳う、この番組。京舞のお稽古を体験したことで関心が高まったのか、家元の舞を大久保さんが食い入るように見つめていたのが印象的でした。まさに「扉が開いた」のかもしれませんね。
SUMIKO KAJIYAMA
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