大久保佳代子さんも感動!『光る君へ』扇を使った雅な遊びや京舞の至芸。まひろの檜扇のルーツとは?『源氏物語』の世界にふれる
◆『芸能きわみ堂』と大河ドラマのコラボ企画 番組収録が行われたのは、嵐山にある宝厳院。室町時代に創建された天龍寺の塔頭寺院で、嵐山を借景とした回遊式の庭園は、紅葉の名所としても知られています。 収録時は紅葉の季節には早かったものの、苔むす庭と木々の緑がとても美しく、出演者(司会)の高橋英樹さんや大久保佳代子さんも、その風情に魅せられた様子。そんな庭園に面した、趣きある数寄屋造りの書院で、「投扇興」を体験するという趣向です。 時代劇スターであり、古典芸能や文化に詳しい高橋さんと、「古典とは無縁に生きてきた」という大久保さん。そのコンビで、歌舞伎や能楽、邦楽、舞踊といった古典のおもしろさ、伝統文化のすばらしさを、誰もが楽しめるように紹介し、「深くて豊潤な伝統のきわみへと誘う」。それが『芸能きわみ堂』という番組です。 今回は、大河ドラマ『光る君へ』とのコラボ企画(「京都にいきづく源氏物語の世界・後編、11月1日放送)ということで、ドラマで和泉式部役を演じる泉里香さんをゲストに迎え、泉さんと大久保さんの“投扇興対決”が行われました。 対決に先立ち、庭木櫻子アナウンサーが京都の老舗扇子店「宮脇賣扇庵」と「大西常商店」を訪れ、扇の種類や歴史、「投扇興」の遊び方などを教わるレポートも。採点方法が『源氏物語』にちなんだものであると知り、出演者のみなさんも興味津々です。 「投扇興」は江戸時代に流行った遊びですが、使う道具は平安時代に生まれた扇であり、採点のルールも『源氏物語』と関わりがある――その意味で、「源氏物語の世界」とつながっているのです。
◆狙うは最高得点の「夢浮橋」! 実は、「投扇興」には多くの流派があり、遊び方や採点のルールも流派によって異なるとか。番組で紹介された『源氏物語』のほかに、百人一首形式など、得点のつけ方も何種類かあるようです。 今回の採点方式では、蝶や扇子の落ちた形それぞれに『源氏物語』ゆかりの名前がつけられています。「夕霧」5点、「若紫」15点というように点数が決められていて、なかには減点されるものも。最高得点は「夢浮橋」の100点です。 「夢浮橋」は奇跡に近い形。100点満点を出すのは至難の業だと思われますが、やはり狙うは「夢浮橋」!ふたりの真剣勝負がスタートしました。 狙ったところに扇子を飛ばすのは、なかなか難しいらしく、泉さんも大久保さんも大いに苦戦!雅な対決の行方が気になる方は、ぜひ番組をご覧ください。 番組の内容を、もう少し紹介しましょう。「きわみ堂」名物(?)「大久保さん、お稽古です!」のコーナーでは、大久保さんが京舞・井上流の舞に挑戦。井上流五世家元、井上八千代さんの娘さんである、井上安寿子(やすこ)さんの指導を受けながら、『源氏物語』を題材とした京舞「葵上」のお稽古を体験します。 以前、この連載で紹介した能「葵上」と同様、京舞の「葵上」も、主人公は光源氏の恋人である六条御息所。正妻・葵の上に対する嫉妬や恨みから、生霊となって襲いかかる場面を舞で表現するのです。大和和紀さんの名作漫画『あさきゆめみし』に描かれた、この生霊のシーンが大好きだという大久保さん。キリっとした着物姿で、お稽古にのぞむのですが……。
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