「いや、狙っていたんで」立教大まさかの全日本駅伝シード権獲得は“ラッキー”にあらず…「粘り」と「準備」で箱根駅伝でも台風の目になるか
立教大が史上5校目となる、全日本大学駅伝初出場でのシード権獲得を達成した。 箱根駅伝の予選会からわずか2週間で迎えた今大会、8区のアンカーの安藤圭佑(4年)がゴールすると、髙林祐介監督はホッとした表情とともに笑みを見せた。箱根の伝統校や常連校を相手に堂々の走りを見せて8位以内に入ったのは偶然でもラッキーでもなく、実力そのものだが、箱根予選会でのトップ通過から勢いがつづく立教大を支える強さとはいったい何なのか――。 【現地写真】「それはガッツポーズもするよね」全日本初出場でシード獲得の立教大ゴールシーンから、髙林監督の「めちゃ手足長い」現役時代、箱根予選会トップ通過の大喜びまで全部見る 「粘り、ですよ」 髙林監督は、そう語る。 レースは、その言葉にふさわしい展開になった。 1区の吉屋佑晟(3年)が6位、トップの日体大に4秒差という好位置で2区の國安広人(3年)に繋いだ。國安は区間15位、順位は14位に降下し、3区の林虎大朗(4年)ももうひとつ伸びず区間12位で、順位は14位のままだった。この時点での、シード権獲得ラインの8位の駒澤大との差は、1分14秒。これ以上離されると、8位以内が遠ざかる。ここが、シード獲得か否かの分岐点だった。
選手たちの粘りはどこから生まれたのか
立教大は、ここから“粘り”を見せた。 4区の稲塚大祐(4年)が区間7位で順位を12位に押し上げ、5区の小倉史也(3年)、6区の山口史朗(4年)が前との差を徐々に詰め、この時点で11位になった。7区の馬場賢人(3年)は、日体大、中央大、帝京大とシードライングループを形成すると、後半に7位に躍り出て、8区の安藤にそのまま襷を渡した。安藤も7位を守ってフィニッシュ。マラソンのネガティブ・スプリット(後半重視のペース配分)のような追い上げで、シード権を獲得した。 「シード権を獲得するポイントとしては、前半で流れを作るというところと、7区、8区の走りのふたつがありました。前半は多少遅れたところがありましたが、それでもシード権内が見えるか見えないか、1分ぐらいで我慢できたところは評価できます。7区の馬場は流れを変える走りをしてくれましたし、キャプテンの安藤もしっかりと仕事をしてくれた。箱根の予選会は勢いみたいなところがあったんですが、今回は粘って、粘って、順位を上げていった。力がついてきているなぁと思いましたね」 髙林監督は、そう言って表情を崩した。 指揮官がいう“粘り”の根源は、どういうものなのだろうか。 それは、選手のもともと持っている能力に、育成強化と結果が乗ってこないとなかなか発揮できるものではない。 8区の安藤を始め、今の1年生から4年生までは上野裕一郎前監督がスカウトしてきた選手だ。箱根を走る他校と競合したような、非常に能力の高い選手たちである。彼らの多くは2年目あたりから力を開花させてきたが、今年4月に就任した髙林監督の練習メニューによって、その力が“確変”した。関東インカレのハーフでは稲塚が5位、中西洸貴(4年)が12位、5000mで林が10位に入るなど、選手個々の力が上がったことが、レースの結果で証明された。 全日本の予選会でも林と國安が3組目で粘って2位と3位を獲り、予選突破に貢献した。林は、「チーム全体としてやるんだ、レースで粘って喰らいつくんだというのが結果に反映されて良かった」と語っていた。 この時、すでに“粘りの走り”が萌芽していたのだ。
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