「いや、狙っていたんで」立教大まさかの全日本駅伝シード権獲得は“ラッキー”にあらず…「粘り」と「準備」で箱根駅伝でも台風の目になるか
目標が定まり、気持ちの準備ができた
また、髙林監督が重視する「準備」も怠らなかった。 全日本の出場権を獲得した時点ではまだ、箱根に向けての大きなステップととらえていた。髙林監督も、夏前から箱根の予選会に言及することは増えたが、全日本での目標にそこまで明確なものはなかったように思える。 目標が定まったのは、8月だった。 「6月に全日本の出場権を獲得した時は、出場して力を試す、チャレンジして経験を積みたい、みたいに考えていたんです。でも、夏合宿ですかね。目標をシード権獲得に変えました。それぞれの選手のレベルアップを見て、これならと思いました。シード権のことは、その頃から私がことあるごとに選手に言うようにしていました」 髙林監督が発言することで選手は、シードを意識するようになった。チームとしては箱根駅伝の予選会を突破することが最大優先事項であるが、髙林監督が「スケジュールは、予選会の次に全日本がある、ということを選手に意識させていました」と語るように、予選会終わりで気持ちを切らせないようにした。 その準備が生きて、予選会をトップ通過した後、全日本でシード権獲得という目標にも集中して取り組んでいけた。メンバーも当初は1、2年生を数名抜擢する予定だったが、“8位以内”にフォーカスすることで、髙林監督曰く「純粋に実力で決めた」という構成になった。 7区で好走した馬場は、こう語る。 「予選会が終わったら全日本というのは、夏には監督にも言われ、最初から頭に入れていました。予選会の疲れもなく、自分はこの2週間、いい準備ができていましたし、チームのみんなもすぐに気持ちを切り替えて準備していましたね」
この結果はラッキーだったのか?
今大会は、箱根予選会のメンバーが8区間中、4区の稲塚を除いて7区間を占めた。國安など一部、予選会の疲労が抜けきらず、本来の走りができなかった選手もいたが、逆に、予選会の2週間前に足を故障して出場を回避した稲塚が戻ってきて結果を出すなど、シード獲得に向けての準備は着々と進められていたのだ。 シード権獲得は、ラッキーだったのか? その問いに「いや、狙っていたんで」と髙林監督は即答した。その言葉と表情からはチームに相当の自信を持っていたように見える。 「設定タイムが5時間16分45秒だったんですが、実際は5時間16分21秒。狙い通りでした。最初、デコボコした駅伝になり、ハラハラしましたけど、目標を達成できてよかったです。今回は、選手が持っている能力とか、もともとの力がすごいあるなぁというのを改めて感じさせてもらいました」 今シーズン、全日本の予選会突破、箱根駅伝の予選会トップ通過、全日本大学駅伝を7位でシード獲得と、次々と結果を出している髙林監督だが、今の勢いでいけば今季最大の目標である「箱根駅伝のシード権獲得」も手が届くところに来ているように見える。 だが、指揮官に浮かれたところは微塵も感じられない。 「今回、シードを獲れて、ここでの目標は達成できましたし、次に繋がるレースはできました。ただ、全部をこう両手を上げて喜べないところもあるので、そこをクリアしていかないと。正直、箱根に向けてはあまり明るいものが見えてこないです。 うちは、人はいますし、選手層としては厚くはなってきていますが、こういう大会での経験値が足りない。プレッシャーのかからないところでのびのび走るだけではなく、緊迫した所でも力を出し切る、チームが困難に直面した時に立ち向かっていける……箱根に向けてはそういう強さが必要になってくると思います」
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