谷原章介さんに聞いた理想の夫婦論「無視や無理解、静かな拒絶もDVだと思うんです」
俳優でキャスターの谷原章介さんが、約2年ぶりの舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』に主演します。夫婦関係の難しさを寓話的に描いた作品に、自らの私生活を顧みることもあったという谷原さんが考える理想の夫婦とは? PEOPLE NOW
情報番組「めざまし8」の総合司会を務める俳優でキャスターの谷原章介さんが、約2年ぶりの舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』に主演(花總まりさんとのW主演)。忙しさにかまけて妻への思いやりを忘れた夫・デイビッド役を演じます。 谷原さんといえば、多忙を極めながらも家事や育児に積極的に取り組む様子がたびたびテレビでも紹介されてきた“夫の鑑”。しかし本作ではデイビッド役に自身を重ね、自らの私生活を顧みる場面もあったそう。ざっくばらんに応じてくれたインタビューの前編では、作品への思いとともに、夫婦間に生じるすれ違いの現実や、夫婦が円満でいるために必要なことについて語ってくれました。
これは夫婦のディスコミュニケーションの話だと思う
── 本作は、銀行で奇妙な強盗に遭い、“最も大切な物”を差し出した被害者たちがその後不思議な現象に見舞われるというストーリー。デイビッドは、強盗に遭った妻・ステイシー(花總さん) の体が日に日に縮んでいくという不可思議な現象を目の当たりにします。風変わりな物語ですが、どのように捉えましたか? 谷原章介さん(以下、谷原) すぐに原作小説を読んだのですが、とても比喩に富んだお話で、一つひとつの出来事が読み手にもリンクするように作られているので、僕もいつの間にか自分自身の経験や、現在の家族の風景に結び付けて自分の内面を掘り下げる作業をしていたんです。 僕も妻と結婚してからの17年間にはいろんなことがあり、自分の至らなかった部分が思い返されて、読み終えた後は改めて、家の中での自分のありかたや、妻への接し方を考えなければいけないなという気にさせられました。実は外面(そとづら)がいいだけかもしれない自分の内面が透けてしまいそうで怖いと感じたし、これは面白い本だなぁと思いました。 ── 妻のステイシーが縮んでいく様子をはじめ、リアルに表現しにくい描写もふんだんです。 谷原 それを(脚本・演出の)G2さんが具体化したらどうなるんだろうな!? というのも興味を惹かれた部分です。上がったばかりの台本(初稿)からは、舞台装置の工夫で錯視などの視覚効果を得ようとしているのは見て取れたのですが、それだけでは表現しきれない部分も多いですから。 G2さんはファンタジー作品がとてもお得意ですが、作風はファンタジーでありつつも単なる夢物語ではなく、ダークなものがそこに潜んでいる。僕が12年前にご一緒した舞台『こどもの一生』もそうでしたし、今回もそういう〝人の心のダークな面〟が入ってくると思うので、そこがどう表現されるのかも楽しみです。