谷原章介さんに聞いた理想の夫婦論「無視や無理解、静かな拒絶もDVだと思うんです」
夫婦円満に大事なのは心と体の触れ合い
── では、夫婦が円満でいるために大切なことはなんだと思われますか? 谷原 相手に敬意を払い、お互いを理解したうえで尊重することですよね。“親しき仲にも礼儀あり“は夫婦間においても大切だと思います。そして、それと同じぐらい大事なのが、心と体の触れ合いです。それは手をつないで一緒に散歩するのでもいいですし。互いの体に触れ合うことは夫婦でしかできないので、何気ないスキンシップも含めて触れ合いはとても大事だと思います。 ……なんてもっともらしく言いましたけど、僕自身、妻とはお互い折り合いをつけて暮らしているとはいえ、考え方は結構違いますし、「自分のこういうところは変えなきゃいけないかもな」と思う部分は未だにあって、それはずっとあり続けるものだと感じます。 ── 谷原さんは、仕事が忙しい中でもまめに料理をしたり、お子さんの入園・入学時には自ら通園・通学用の手提げを作るなど、家事のたいへんさも知っているように見えます。 谷原 家事に限らず、作業って分担してやるものじゃないですか。それぞれの得意分野、もしくは向き不向きに合わせて、できる時間がある時に埋め合えればいいと思うので。 埋め合うということで言えば、例えば外食時の支払いでも、きっちり1円単位まで割り勘するのもいいけれど、収入や年齢の違いで、「じゃあ〇〇、2000円でいいよ」という埋め方もあって、僕は結構そっち派なので。 家庭でも、僕の比重が重い時もあれば、逆に妻の比重が重くなっている時もありますが、互いの負担感を思いやることで、心のバランスさえとれていればいいのかなと思っています。 実は今回の舞台の序盤で、強盗から「あなたは旦那さんを愛しているの?」と聞かれた時、ステイシーは「わからない」と答えるんです。それぐらい、もとは他人である2人の関係性は脆いものなんだなって。夫婦になったからといって強固な地盤にいるわけではなく、いつ崩れるかわからない地平に立っている。だからこそ努力も必要だし、理解しようとしなきゃいけないし、寄り添うことや、笑いが必要なんですよね。