谷原章介さんに聞いた理想の夫婦論「無視や無理解、静かな拒絶もDVだと思うんです」
── それが失われてしまうと、物語の2人のように愛が憎しみに変わることもあると……。 谷原 “愛憎“って言いますけど、愛の反対って無関心だと思うので。憎しみは、愛がないと生まれないですからね。 けれどデイビッドは、最後にようやく自分を顧みることをしたのではないかなと思うんです。彼がステイシーに対してもう1回きちんと向き合うことで、自分の非を認めることができたのかなと僕は思っています。 ── 銀行で強盗から「今持っているものの中でいちばん大切な、最も思い入れのあるものを差し出せ」と言われたステイシーは、夫との歴史にまつわる意外なものを差し出しますが、もしも谷原さんが強盗にそう迫られたら何を差し出しますか? 谷原 それはもう、家族にまつわる何かです。家族の写真や、子供がくれたメッセージカードや似顔絵、そして妻が節目の時に書いてくれた手紙ですね。手紙はめったにくれないですけど。家族が僕を思って書いてくれたというのはやっぱりうれしいですから。 未婚・既婚に関わらず、この物語に少しでも興味を感じてくださった方がいらしたら、ぜひこの舞台を見て、今ご自身が抱えている問題や、生活の中で引っかかっているものを見つめ直して改善するきっかけになればと思いますし、「自分のいちばん大事なものってなんだろう?」というのを考えていただけたらなと思います。
● 谷原章介(たにはら・しょうすけ)
1972年、神奈川県横浜市生まれ。1992年「メンズノンノ」の専属モデルに。1995年に映画『花より男子』で俳優デビュー。以後、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍。2000年代からは司会業にも挑戦。「王様のブランチ」(TBS系)、「パネルクイズ アタック25」(テレビ朝日系)など多数の番組でMCを務める。2021年からは朝の情報番組「めざまし8」(フジテレビ系)の総合司会に就任。趣味はスポーツ観戦、サーフィン、音楽鑑賞、バイク、ゴルフ、時計。
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』
原作はアンドリュー・カウフマンによる同名のファンタジー小説。ある日、銀行に風変わりな強盗が現れた。その場にいた13人から、各自の思い出の品を差し出させた強盗は「私はあなた達の魂の51%を手にした。それによりあなた達の身に奇妙な出来事が起きる。自ら魂の51%を回復しない限り、命を落とすことになるだろう」と言って去る。その3日後、妻は自分の身長が縮み始めていること気付き……。劇中では、13人の身に起こる不思議な出来事と奇跡が描かれる。そんな“舞台化不可能”とも言える小説を、演劇界の名匠G2が10年の構想期間を経て世界初の舞台化。主演は「エリザベート」「マリー・アントワネット」などでタイトルロールを務めた日本のミュージカル界のトップ・花總まりと俳優のみならず司会としても絶大な支持を得る谷原章介。 2024年4月1日~14日、日本青年館ホール 出演/花總まり 谷原章介 平埜生成 入山法子 栗原英雄 Copyright © 2010 by Andrew Kaufman Used by permission of The Rights Factory Inc. through Japan UNI Agency, Inc., Tokyo
文/浜野雪江 写真/内田裕介(タイズブリック) スタイリング/澤田美幸 ヘアメイク/川端富生 編集/森本 泉(LEON.JP)