ついに上場、東京メトロの株は「買い」か?「類似の上場例」から導いた「結論」
不動産事業の伸びしろは…?
可能性としては都営地下鉄との合併。以前から検討されてきながら、なかなか実現への道筋が見えない。 他の私鉄各社は鉄道事業より、付随する不動産事業を成長戦略の中心に置いている。都市部から郊外へ延びる沿線で、中核となる駅周辺での再開発などがこれからも行なわれることだろう。 東京メトロでも渋谷マークシティや渋谷ヒカリエなどオフィスビルやホテルなどの不動産事業も行なっているのは確かだ。だがほかの私鉄大手と比べるとその規模感において見劣りしてしまう。これは東京メトロが都心部に駅が集中しているという大きなメリットが、逆に足を引っ張っている。つまり開発余地の広い土地が少ないというデメリットになっている。 ただ首都圏の私鉄沿線の再開発は、東京メトロにまったく関係ないとはいえない。 東京メトロは各私鉄と乗り入れを行っている。たとえば埼玉県から神奈川へ向かう客は(あるいはその逆の神奈川から埼玉)、私鉄を乗り継いで東京メトロを中継することになる。東京メトロへの恩恵もあるわけだ。 日本の少子化を懸念する声もあった。将来の乗客数減に直結する話ではある。ただ当面、少子化の影響は主に地方都市で、首都圏への影響はさほど大きくはない。それどころか東京への人口流入は続いている。少子化の影響はしばらくは考えなくてもいいだろう。 ではメリット、デメリットをトータルで勘案して東京メトロの株は「買い」か「見送り」か。
問題は、そのあと
収益の安定性と割安さを考えると下値不安は小さい。営業利益、営業利益率、輸送人員数などを見ても私鉄のなかでも、経営基盤は群を抜いて強く見える。 類似企業で比較的近い新規上場企業の九州旅客鉄道(9142)の初値騰落率は+19.2%となっている。 1200円という価格は割安で、下値不安は少ない。多くの証券関係者に聞いて回ると、初値予想は1300円台がもっとも多く、次に1400円台がそれに続いた。 国内で売り出しされる株数は2億3240万株。売買単位は100株なので、当選本数は232万4000本。IPOのなかではかなり当選しやすいほうだ。それでもブックビルディング(需要申告)で15倍を超えている。 東京メトロの割安性、配当利回りの高さから見て初値が売り出し価格を下回る確率は、よほど市況が悪くない限りかなり低い。またこの東京メトロ株を狙って新規で新規口座開設が増えているという点も心強い。 国内で売り出しされる株数は2億3240万株。売買単位は100株なので、当選本数は232万4000本。IPOのなかではかなり当選しやすいほうだ。まずIPOに申し込むかどうかの判断があるわけだが、チャレンジする価値はあるのではないか。 問題は、そのあとだ。 いくつかシミュレーションしてみようと思う。