マクラーレン、ペナルティの再審請求を実施! 物議醸したアメリカGPでのノリス5秒ペナルティに異議申し立て
マクラーレンは、F1アメリカGPでランド・ノリスに科せられた5秒のタイム加算ペナルティについて、再審請求を行なった。 【ギャラリー】2024年F1アメリカGP:日曜日 ノリスはアメリカGP終盤、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と激しい3位争いを展開。しかしターン12で2台がコースオフし、ノリスはコース外からオーバーテイクしたとしてペナルティを受け、4位に降着となっていた。 今週末にメキシコシティで開催されるレースを前に、現地時間金曜14時30分から行なわれるヒアリングで、マクラーレンはFIAに対し、裁定が下された時点では入手できなかった重要かつ関連性のある新たな証拠があったことを示さなければならない。 再審請求の権利については、FIA国際競技規則の第14.1.1条に以下のように規定されている。 『重要な関係する新たな要因が発見され、それが当該競技において再審を求める当事者が利用できなかった場合、裁定を下した当該審査委員会あるいはこれがないときはFIAに指名された機関が、再審理の請願書によってそれらの決定を再検討することを決定できる。審査委員会は、関係する当事者に関連する説明を聞いて、委員会に持ち込まれた事実と要素に照らして判断するよう、その構成員の同意を得た日程で招集(直に、あるいはその他の方法で)されなければならない』(※JAFのFIA国際モータースポーツ競技規則日本語訳より抜粋) スチュワードの決定に関与した当事者であれば、FIAを加えて、誰もが再審査を求めることができる。アメリカGPのスチュワードはビデオ会議を通じて再審査権審理のために再招集され、2回に分けて審理が行なわれる。 今季は、中国GPでフェルナンド・アロンソに科されたペナルティについて、アストンマーティンが再審請求を実施したが却下されている。また、今回と近いケースで言えば、メルセデスが2021年のサンパウロGPでのペナルティについて再審請求を実施している。メルセデスはサンパウロGPでフェルスタッペンとルイス・ハミルトンがバトルした際、ハミルトンが押し出されたとして、フェルスタッペンが競技規則に違反していなかったかどうかをFIAに調査させようとした。 メルセデスは、フェルスタッペンのクルマに搭載されたオンボードカメラについて、当時は後方を映した映像が放送されていたが、前方を映した映像はレース後にパルクフェルメでダウンロードされた後にしか見ることができなかったことから、オンボード映像はスチュワードが最初の決定(このケースではフェルスタッペンのドライビングを調査することさえしなかった)を下したときには入手できなかった新たな、重要かつ関連性のある証拠だと主張した。 しかし、オンボード映像は”重要な新証拠”にあたらないと判断され、再審請求は却下されている。 今回の件でもフェルスタッペンのオンボード映像は後方を映したものしか放送されなかったが、これらがマクラーレンが提出するつもりの新証拠かどうかはまだ明らかになっていない。 実際レース直後、マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラは、「新しく関連性のある証拠は存在しないと思う」と答えており、再審請求に前向きではない様子だった。 「関連性のある新しい証拠は存在していないと思う。というのも、スチュワードと見解の相違がある我々の解釈を評価するために使用した唯一の証拠は、すでに入手可能だからだ」 「つまり再審請求の権利を行使しても、新たな証拠はないのだから、それが成功するとは思えない。それは解釈の問題に過ぎない」 「我々にとっても、ドライバーにとっても、チームにとっても、これでこの章を閉じることになる」 そう語っていたステラ代表だったが、方針を転換したのは新たな証拠を見つけたからなのか。もしノリスのペナルティが取り消されることになれば、ノリスが3位、フェルスタッペンが4位に結果が変更される。直接タイトルを争っているふたりであるだけに影響は大きい。現在、フェルスタッペンはノリスに対して57ポイントリードしているが、これが51ポイント差に変わることになる。
Alex Kalinauckas