衝撃の大相撲夏場所初日。横綱・大関・関脇が総崩れ。稽古総見で50年ぶりに聞く「琴櫻」の四股名に感激
5月12日、大相撲夏場所が東京・両国国技館で始まりました。「荒れる春場所」のあと、今場所はどうなるのか。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。 【写真】稽古総見の様子 * * * * * * * ◆横綱、大関、関脇が総崩れ 大相撲夏場所は5月12日に東京・両国国技館で初日をむかえたが、横綱、大関、関脇が総崩れするという衝撃の幕開けとなった。 関脇の阿炎と若元春が負け、大関陣の登場となり、カド番の霧島が前頭2枚目・豪ノ山に、貴景勝が前頭2枚目・平戸海に、琴ノ若改め琴櫻が前頭筆頭・大栄翔に敗れた。3大関ともに押し出しで負けた。いよいよ最後の大関として豊昇龍が登場した時、NHKテレビの実況の佐藤洋之アナウンサーが「上位としてはですが、ちょっとヤな雰囲気のなかで結び前の一番にやってきたわけですが…」と言ったが、正面解説の舞の海さんは「豊昇龍の性格として、自分の前に取った3大関が3連敗したことによって、かえって燃えるんじゃないですか」と予想をした。 ところが、豊昇龍は前頭筆頭・熱海富士の上手投げに敗れた。佐藤アナウンサーは透き通るような美声で「大関全滅の初日になりました!」と、予想がはずれた舞の海さんの横で叫んだ。 次に横綱・照ノ富士が新小結・大の里にすくい投げをうたれて負けてしまい、佐藤アナウンサーは「夏場所の初日、上位全滅!」「1横綱4大関、総崩れの夏場所の初日」「関脇以上総崩れという1日にもなりました」と、この波乱の事態を、言葉を変えながら伝えるはめになった。 問題なのが、上位陣の負け方が惜しいというのではなく、対戦相手にのびのびと相撲を取られてしまったところ。2日目からの上位陣の白星獲得のための立て直しに期待したい。
◆やっと髷が結えた 大の里は出世が早くて髪が伸びるのが間に合わず、やっと髷が結えた状態だ。日本体育大学を卒業し、昨年夏場所に幕下10枚目格付出しでデビュー。入門から6場所で小結になり、先場所はざんばら髪で尊富士と優勝争いをした。 先場所、110年ぶりとなる新入幕優勝を果たした尊富士は、前頭17枚目から今場所は前頭6枚目に昇格したものの、先場所の千秋楽の前日に痛めた右足首の怪我が完治せずに休場。とても残念だ。 国技館の天井近くには、歴代の優勝力士の額が掲げられていて、初日に尊富士の優勝額が披露された。尊富士も出世が早くて髷なので、大銀杏の力士たちの中で違和感というか、凄みがある。初日が終わったばかりで書くのもなんだが、今場所、大の里が優勝したら、髷の力士の額が続き、大相撲史が変わった気がするだろう。 大関復帰を狙う朝乃山は前頭筆頭から小結となったが、巡業中に膝を怪我して休場。ファンとしてかなり残念で、本人もとても悔しいことだろう。 近年の大相撲放送は、力士の怪我や病気の報告が多く、その怪我をどうやってしのいで白星を獲得するかというところに、私の注目は変化してきている。
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