急増するビットコインの大口取引、野村のレーザーDが見た世界の激戦区──「マーケットの本格化はこれからだ」【2025年始特集】
トランプ政権のアメリカが日本市場を揺さぶる
それでは、日本の機関投資家が動き出すきっかけとなる起爆剤とはなにか? 工藤氏は、トランプ政権の米国が暗号資産に対する規制をより明確にし、米国市場の整備が一段と進めば、暗号資産投資を真剣に考える日本の機関投資家は現れてくると予測する。 米国最大の銀行JPモルガン・チェースも、トランプ新政権下の暗号資産業界の行方を追っている。 12月、JPモルガンのリサーチチームがまとめたレポートは、米新政権の移行チームは既に暗号資産規制と、業界の発展を前向きに議論するための下地を作り終えようとしていると述べている。 例えば、トランプ氏がスコット・ベッセント氏を次期財務長官に指名したことは、JPモルガンの指摘を裏付ける事実の1つだろう。イェール大学を卒業し、著名投資家ジョージ・ソロス氏のファンドで最高投資責任者を務めたベッセント氏は、「米国第一」主義の擁護者と言われるが、米国の暗号資産市場の成長を支持する一人でもある。 現にベッセント氏は昨年7月、米フォックス・ビジネスのインタビューの中で、「(トランプ氏が)暗号資産を受け入れたことに興奮している。それが共和党の理念と非常にうまく調和していると思う。暗号資産は自由を象徴しており、暗号資産市場はこれからも存在し続ける」とコメントしている。 また、トランプ氏は次期政権に「AI・暗号資産担当長官(AI and Crypto Czar)」の新ポストを設け、デビッド・サックス氏を指名した。サックス氏は、暗号資産の管理・保管サービスのビットゴー(BitGo)や暗号資産投資のビットワイズ(Bitwise)などに出資してきたクラフト・ベンチャーズの共同創業者だ。 さらに米国では、州政府がビットコインの「国家戦略備蓄」を始めるべきと訴える議会議員が現れるようになってきた。原油や石油製品の国家備蓄は日本も行ってきたが、「デジタルゴールド」と称されるビットコインが、次世代の金融基盤を固める上で戦略的に重要と考えれば、議論に値するのかもしれない。 何はともあれ今年、米国市場が成長フェーズに乗れば、「アメリカの大手投資銀行も大きく動いてくるだろう」と工藤氏は話す。 「米国の規制と市場環境の整備が進めば、グローバル市場にも良い影響を与えると考えている。レーザー・デジタルとしても動きやすくなってくる」 |インタビュー・文:佐藤 茂|撮影:今村 拓馬 【2025年始特集】インデックス“となりのWeb3”、日常に浸透する「夏」がやってきた【2025年始特集】一覧
CoinDesk Japan 編集部