神取忍 祝還暦! とにかく怖かった86年ジャッキー佐藤とのデビュー戦
【昭和~平成スター列伝】“ミスター女子プロレス”ことLLPW―Xの神取忍が、10月30日に還暦を迎えた。11月18日には東京ドームシティホールで「神取忍還暦祭り」が開催され、神取はメインで梅咲遥、水波綾と組み、堀田祐美子、中森華子、なつぽい組と対戦する。 38年間、女子プロレス界で常に異色の存在でありながら、無類の強さを発揮。トップを走り続けて女子プロの常識を壊し続けてきた。ジャパン女子旗揚げ戦となる1986年8月17日、後楽園でのメインでデビュー。相手は元ビューティ・ペアのジャッキー佐藤。デビューから破格の扱いだった。 「緊張したし負けたけど格闘技として新しい戦いを見せることができたと思う」と当時を述懐する神取は真っ向からケンカファイトを仕掛けた。試合は壮絶を極めた。 「5年ぶりに復活の“女王”と“柔道女三四郎”は24分36秒にわたる死闘の中で、ストロングスタイルの格闘プロレスをいかんなく見せつけた。神取は殺人投げ、ブレーンバスターから柔道流のワキ固め、腕ひしぎ逆十字固め、なおも裸絞め、三角絞めの猛攻から、レッグラリアート、フロントスープレックスと大技を連発。デビュー戦とは思えない連続攻撃だ。だが15分過ぎ、ジャッキーもタックルをラリアートで返し、一気にサソリ固めでたたみかけた。神取はこれをしのぎ何とプランチャー。ジャーマンは崩れたがアキレス腱固めの追い打ち。厳しい攻めだ。ロープに逃げられるとまたもUWF顔負けのアキレス腱固めだ。20分過ぎ、ジャッキーが雪崩式ブレーンバスターからアバランシュホールド。神取はプランチャーで反撃も自爆。いち早くリングに戻ったジャッキーが鋭角なバックドロップ。軍配は女王に上がった。しかしストロングスタイルを前面に押し出すジャパン女子の指針をハッキリとアピールした一戦だった」(抜粋) デビューから異色の存在だった神取だが、とにかくこの時期は怖かった(今もだが)。何かあれば懐から刀を抜くような殺気に満ちていた(今もだが)。ジャッキーとはその後に遺恨が生じ、有名な凄惨マッチ(87年7月18日、神奈川・大和)では顔面を殴り戦意喪失に追い込んだ上「心を折るつもりだった」(神取)アームロックで腕を破壊した。この試合が問題となり、神取はジャパンと決別し、女子プロのカリスマで全女の長与千種に対戦に要求するが、実現には至らず、ジャパン復帰から92年のLLPW旗揚げへと向かった。 その後も異種格闘技戦、天龍源一郎との戦い、北斗晶、ブル中野らと壮絶な名勝負を展開。常に反骨精神を持ち続け、女子プロレスの常識を破壊し続けた。還暦を過ぎてもその心意気は失わないでほしい。 (敬称略)
東スポWEB