僕が面接で「超優秀な学生」を見抜けなかった後悔 ある就活生が教えてくれた「社会人として最強の能力」
10年前、銅冶さんは会社を辞めて、夢に向かって歩き始めた。アフリカで作った服を売るアパレルブランドCLOUDYを立ち上げた。 最近、テレビなどのメディアで見かけるようになったし、大活躍しているようだ。彼は自信がないことは仲間に頼ることができる。それこそが、彼の強さなのだろう。 お金の役割や社会の仕組みを伝えるために、小説『きみのお金は誰のため』を執筆した際、さきほどの銅冶さんと宮台さんの話は非常に参考になった。
■「仲間作りの秘訣」とは何か? 銅冶さんは、「堂本さん」というキャラのモデルになっていて、小説の中でも活躍してもらっている。 堂本は切実な表情で、現地のことを詳しく教えてくれた。 「世界中から服が送られてくるせいで、特に西アフリカには高いお金を払って服を買う人がほとんどいません。現地で服を作っても売れないから、産業が発展しないんすよ。だから、アフリカで作った服を、日本に持って来て売っているんすよ」 熱心に耳を傾ける七海が、「なるほど」とあいづちを打つ。
「明治の近代化と同じことをされようとしているんですね。黒船が来航してから、日本が急速に成長したのも、繊維産業からでしたよね」 「そうなんすよ。それに、アフリカの文化とか伝統には本当に魅力を感じています。僕はそれを日本で伝えたいんすよ」 (中略) ノートパソコンのスクリーンにアフリカの小学校の風景が映し出される。画面の中央には手作りの長机が並び、ぎゅうぎゅうになって座る子供たちの笑顔があふれていた。 堂本の手がマウスをクリックすると次の動画が始まった。校舎の外の様子が見える。子ども達が歌に合わせて踊っていて、何羽もいる鶏がカメラに向かって飛び跳ねていた。
その小学校での生活は日本よりも不便そうだ。だけど、子供たちの目は希望に満ちていた。そして、動画に一緒に映る堂本の生き生きとした顔が、優斗には印象的だった。 段ボールの積み上がったその部屋で、未来を作ろうとしている堂本の強い意志と情熱に、優斗の心は揺さぶられた。 (『きみのお金は誰のため』122ページより) この本の出版イベントで、“堂本さん”こと、銅冶さんと対談をしたことがある。仲間作りの秘訣をたずねたところ、彼はこう答えてくれた。
「周りのことをよく観察しています。自分が何をすれば、みんなが喜んでくれるのかなって考えています」 そのイベントの中でも、お客さんだけでなくスタッフの方たちも巻き込んで、幸せな笑いの渦を作っていた。 彼は今も多くの人を巻き込んで、日本とアフリカの未来を作り続けている。
田内 学 :お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家