1~2年生で岐阜準決勝に挑んだ長良、指揮官が求める“文武不岐”のロールモデルへの挑戦「選手権の借りは選手権で」
[11.2 選手権岐阜県予選準決勝 長良高 0-2 中京高 長良川球] 1~2年生のメンバー編成で岐阜県準決勝まで勝ち上がった長良高だったが、最後は雨中の接戦に屈した。水たまりがいたるところに出現したピッチでは持ち味のテクニカルなスタイルを繰り出すことは叶わず。それでも金森康二監督は「この環境の中でも戦わないとダメだし、それもサッカー。こういう状態でも勝たないといけない」と言い訳を避けた。 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 エースを負傷、主力CBを出場停止で欠き、迎えた中京高との岐阜県準決勝。すでに3年生が学業の都合で引退している若いチームには少なからず動揺が走ったというが、「いるかいないかは大きいが、それも含めてチーム力」(金森監督)いう覚悟で食らいついた。 だが、DF江崎直也(2年=名古屋U15)のロングフィードが相手に対策され、最前線のFW野田敦生(1年=FC DIVINE)になかなかボールを届けられずにいると、前半33分にパワフルなクロス攻撃に屈して失点。後半も互角の戦いを演じていたが、後半30分に退場者が出たのも響き、終盤に追加失点を重ねて0-2で敗れた。 試合後、主将のMF竹田陵人(2年=岐阜西SC)は「こういうピッチや苦しい状況でも勝ち切らないといけない。こういうところでも勝ち切れるように練習して、新人戦とインハイでもっとやらなきゃいけない」と悔しさを噛み締めた。 “文武不岐”をテーマに掲げる長良高は例年、多くの3年生が夏のインターハイで部活動を引退しており、多くの選手にとってはこれが最後の選手権。1年間多く成長を遂げてきたチームと伍するのは容易ではないが、竹田は「2年生だからとか、一つ上の年代だからというのは言い訳。一人のスポーツ選手として真剣勝負で、言い訳なしに全国に出たかった」と振り返る。 ただ、1~2年生で選手権準決勝という結果は来季へのポテンシャルを示すものでもあった。金森監督は「泣いている選手もいるけど、人生で3回しか選手権は戦えないので選手権の借りは選手権で返すしかない」と断言。「勉強もしながらサッカーをやるというのは岐阜県の強豪校にはないスタイル。可能性のある学年なので、その子たちが本気になって勉強をしながらでもできるんだということを示してほしい」と期待を口にする。 指揮官が求めるのは“文武不岐”を実現させながら全国に挑むという、県内の子どもたちのロールモデルになるような姿勢だ。 「0を1にするのが大変な作業。そういうつもりで中学生が入ってくればまた変わると思うけど、そのためには例がないとダメ」(金森監督)。高い壁は認識しつつも、要求するのはこの世代に期待しているからこそ。「実際にここまで残れるかというと結果が必ずついてくるものではないけど、今の2年生は1年生からそういう経験を先輩たちにさせてもらって今年ここまで勝ってこられた。でも最後はそれでも勝てなかった。来年リベンジして、取り返しに行ってほしい」と願った。 竹田主将も試合後、「長い目で見た時、勉強も大事にはなる。ここから勉強を続けて、インターハイが終わったタイミングで自分がどれくらいかを見て、厳しかったら辞める決断をしないといけないかもしれない」と両立への葛藤はにじませつつ、「正直、僕は選手権をやりたいので残りたい気持ちはある。自分としては続けたい思いがある」と覚悟を口にした。 そうした姿勢は学業の積み重ねを継続しつつ、まずは来年の新人戦やインターハイから示していきたいところだ。目指すは近年の県内で覇権を守っている帝京大可児の基準を超えるようなチーム。主将は「帝京大可児は本当に強いチームで、全国でも戦えるチーム。でもそれを上回るくらいのチームにできると僕は思っているし、長良の選手は全国に出られるポテンシャルを持っている。それを引き出せるように声をかけたり、サポートして、全員で絶対に全国に行きたい」と意気込んだ。