「心配の範疇を超える事件が」「最初は戸惑いました」 大河ドラマ「光る君へ」に翻弄される文学好きが最推し愛を語る
そして和泉式部がリングイン
たられば 大河も後半に入りましたが、公式ガイドブックを読むと、このあと和泉式部が出てくるみたいで。 澤田 そうなんです。 たられば 紫式部や清少納言と絡んだりするのか……普通に考えると清少納言とは気が合いそうだけど、紫式部とは絶対合わなそう。 澤田 合わない。私は杉本苑子さんの小説『散華 紫式部の生涯』に出てくる和泉式部が大好きで。彼女の中では幼なじみの皇子たちと男女の関係になっちゃうのが自然な成り行きなんだけれど、潔癖な紫式部はそれが許せない。 たられば 許せないでしょうね。そうじゃなかったら、和泉式部のことを「歌はいいけど身持ちが悪い」なんてあからさまに書かないでしょう。ただ当時、一番評価されていたのは和泉式部じゃないかと思うんですよ。才能溢れる歌人で、「勅撰和歌集」に採られた歌の数は女性部門でぶっちぎりの第一位。 澤田 ゴシップの破壊力もすごいですよ。為尊親王・敦道親王兄弟と続けて恋仲になったのは有名です。でも、冷泉天皇が廃され、皇統が円融天皇へと移ったことで権力の座から遠のいた親王たちと恋愛に耽ったというのは、和泉式部なりの「敗者の美学」だったかもしれません。 たられば そうなると和泉式部を見る楽しみのギアが上がりますね。でも現代では他の二人ほどメジャーじゃないから、悪く描かれたらどうしようとか、逆にたいしたことない人みたいに描かれても嫌だなとか、このあと長生きする彰子はどんな風に描かれるんだろうとか、道長の晩年はつらいんだよなあとか……。まだまだ僕の心乱れる日々は続きそうです。 [文]新潮社 1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「週刊新潮」「新潮」「芸術新潮」「nicola」「ニコ☆プチ」「ENGINE」などの雑誌も手掛けている。 協力:新潮社 新潮社 波 Book Bang編集部 新潮社
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