与党との連携が視野に入る国民民主党の経済政策を再度確認:与党は基礎控除引き上げ、トリガー条項凍結解除を受け入れるか?
財政拡張傾向がより強まるリスク
衆院選挙で与党が大幅に議席数を減らす一方、立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組が大幅に議席数を増加させたのは、民意の反映であることは確かだ。それには自民党の政治資金問題が大きく影響したことは疑いないが、経済政策に置いても野党がより支持された面もあったのではないか。 この点から、石破首相が記者会見で述べたように、与党は、国民に支持された野党の政策を検証し、妥当であれば受け入れていくことが期待される。 ただし、財源や将来にわたる国民負担への配慮が十分になされていない野党の経済政策を丸呑みし、そのまま受け入れれば、財政環境は一段と悪化し、将来負担の増加が中長期の成長期待の低下、経済の潜在力の低下を促し、長い目で見た国民の利益にはならない可能性もある。 こうした点にも配慮した上で、石破政権は、目先の物価高対策、個人消費喚起策よりも、経済の潜在力を高め、労働生産性上昇率の引き上げを通じて実質賃金上昇率を高める成長戦略、構造改革を経済政策の中核に据えて欲しい。 また、石破首相が長らく主張していた金融・財政政策の正常化という主張は、首相就任後に修正され、トーンダウンした感があるが、今後野党との協力を模索する中で、それが、財政拡張、金融緩和方向へ2段階で大きく振れてしまうことがないことを望む。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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