与党との連携が視野に入る国民民主党の経済政策を再度確認:与党は基礎控除引き上げ、トリガー条項凍結解除を受け入れるか?
非常事態であるから財政悪化に目をつぶり積極財政・金融緩和をすべきという考えか
最低賃金を引き上げ、「全国どこでも時給 1150 円以上」を実現することで賃金を引き上げる一方、「減税・社会保険料の軽減・生活費の引き下げで、みんなの手取りを増やす」としている。こうした政策に、財源確保や財政健全化の発想は見られない。同じく減税を掲げる立憲民主党や日本維新の会は、所得税、法人税の一部引き上げ、消費税の軽減税率の廃止、医療費自己負担の一部引き上げなども政策に掲げており、財源への配慮が一定程度見られるが、国民民主党はそれとは異なるように見える。 今までも、現在は非常事態であるから、財政悪化には目をつぶって積極財政、積極金融緩和をすべきという考えのもと、異例の金融緩和と財政悪化が常態化してしまい、円安、市場機能の低下、中長期の経済の潜在力低下など様々な問題を生じさせてしまった。 現在は、大きな外的ショックなどによって経済が低迷する非常事態にあるのではなく、経済の実力を反映して低迷している状況、いわば低位安定の状況だ。経済の実力を高めるためには、中長期的な観点から経済の潜在力を高める成長戦略、構造改革が必要であり、一時的な効果しか生まない減税、給付などでは経済の実力は高まらない。
国民民主党の経済政策の具体案
国民民主党が選挙公約で掲げた主な物価高対策、個人消費喚起策は、以下の5点である。 1)所得税減税 ・基礎控除等を103万円→178万円に引上げ、年少扶養控除復活 2)消費税減税 ・実質賃金が持続的にプラスになるまで一律5%、インボイス廃止 3)ガソリン代値下げ ・トリガー条項凍結解除、二重課税廃止によるガソリン減税 4)電気代値下げ ・再エネ賦課金徴収停止 ・安全基準を満たした原子力発電所の再稼働 5)現役世代の社会保険料軽減 ・年齢ではなく負担能力に応じた窓口負担 (後期高齢者医療における3割負担の対象拡大、高額療養費の自己負担限度額の見直し) ・公的保険の給付範囲見直し ・後期高齢者医療制度への公費投入増による拠出金減額 ・毎年5兆円の「教育国債」発行。公的医療保険制度に上乗せして徴収するこども子育て支援金制度の廃止