衝撃続く〝トランプ人事〟 FBI長官候補に解体論者「ディープステートの博物館にする」との主張も 国防長官候補には性的暴行疑惑
ドナルド・トランプ次期米大統領の人事をめぐり、全米で衝撃が続いている。米CNNテレビは、トランプ氏が連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官を解任し、後任に元国防総省幹部のカシュ・パテル氏の指名を検討していると報じた。パテル氏はトランプ氏の熱烈な支持者で、FBIの解体を訴えている。 【表でみる】トランプ次期大統領が異例の人事連発 イーロン・マスク氏が効率化省トップ パテル氏は司法省のテロ担当検事、下院情報特別委員会の安全保障担当顧問を務めた後、第1次トランプ政権で国家安全保障会議(NSC)の対テロ担当上級部長として過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者、バグダディ容疑者を死亡させた急襲作戦などを担当。その後、ミラー元国防長官代行の首席補佐官に就いた。 今年9月放送のポッドキャスト番組でパテル氏は、自身に権限を与えられれば「初日にFBI本部を閉鎖する」と明言した。本部の建物は米政府を操るエリート層らで形成する「ディープステート(闇の政府)」の博物館にすると主張し、FBIの本部職員を全米各地に送り、警察として犯罪捜査に当たらせる考えも示していた。 FBI長官の任期は大統領より長い最大10年。トランプ氏は1期目の2017年にレイ長官を指名していた。レイ氏の後継としてパテル氏が指名された場合、上院で人事が承認されるかどうかは不透明だとされる。 一方、米主要メディアは、国防長官候補のピート・ヘグセス氏が17年に性的暴行容疑で捜査されていたと報じた。元軍人のヘグセス氏はFOXニュースの司会者を務め、トランプ次期大統領が12日に国防長官候補に指名した。 トランプ氏の陣営は事前に身辺調査を十分せず、暴行疑惑も把握していなかったとみられる。関係者によると、ヘグセス氏に関する新たな醜聞が出てくることを恐れているという。 ワシントン・ポスト紙電子版によると、西部カリフォルニア州モントレー市で17年10月、ホテルで性的暴行があったとの訴えがあり、警察が捜査した。 ヘグセス氏は当時、現地で開かれた共和党の女性関連の会合に参加。被害に遭った女性の友人によると、被害者は後にヘグセス氏側と秘密を口外しない約束を取り交わしたという。警察は刑事訴追していない。
陣営は「トランプ氏は閣僚として優秀で適格な人物を選んだ」と強調。ヘグセス氏の弁護士は「捜査が尽くされ、罪に問われなかった」と主張した。