トランプが勝利したのは「ポッドキャスト」で若い男性の心を掴んだためだ
この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 わたしはまだパジャマ姿のままだ。かれこれ火曜の夜から着替えていない。かなりの量の酒を飲みながら、Netflixの番組を行ったり来たりしている。『こんなのみんなイヤ!』は愉快だが極度に陳腐(つまりバカバカしい)。『モンスターズ:メネンデス兄弟の物語』は息子が2人いる父親としては、ただ単に不穏だ。 つまるところ、わたしにとってはまたしてもコロナ禍のようなものだ。株価まで上がっている……まるで2021年に逆戻りしたようだ。 過去24時間で22通のメールを受け取った(落ち込んでいるときは、対処法として些細なデータに執着してしまう)。選挙についてのわたしの見解を求めてくるものだ。見知らぬ人を慰めることができるという反射的な欲求、あるいは誇大妄想的な思い込みから、「物事は決して思うほど良くも悪くもない」ことや、米国は依然として米国のままだということ──世界で最も豊かで自由な国であること──を彼らに思い出させようとする。 今回の選挙結果は望んでいたものでも予想していたものでもなかったが、それでも帰国をとても楽しみにしているのだ。 さきほどこの段落を読み返してみたが、ある意味では本当のことだ。ある意味では。 わたしの不信と絶望は怒りへと形を変えつつある。ナルシストの大統領(バイデン)が未経験の候補を選び出し、107日間で移民とインフレの危機、不人気な現職の重荷を乗り越えるよう求めたのだ。国民の3分の2が「間違った方向に向かっている」と言っているときに、現政権の側近が「変革の担い手」を名乗ることなど到底できるはずがない。この怒りの時代に人々が求める体制の打破者などではないのだから。 わたしはこれからCNNの看板番組『アンダーソン・クーパー360』、MSNBCのニュース番組、そしてCNNのマイケル・スマーコニッシュが司会を務める番組に出演して男性票について議論することになっている。 今回の選挙は予想に反して、女性の中絶権など身体の自律権を問う国民投票にはならなかった。これはテストステロン選挙だったのだ。わたしが(かなり)確信を持って言えるのは、今回初めて、若者がトランプ支持に急激に傾いた要因となったメディアがある──ポッドキャストだ。そして、この記事で書こうとしているのはまさにそのことなのだ。