トランプが勝利したのは「ポッドキャスト」で若い男性の心を掴んだためだ
新しいメディア
新しい形のメディアは我々の文化と政治を定期的に作り変える。フランクリン・D・ルーズベルトはラジオを使いこなし、ジョン・F・ケネディはテレビを活用し、レーガンはケーブルニュースを極めた。オバマはインターネットで若者の有権者を活性化した。トランプはツイッターで世界の注目を集めた。 そして今年、その役割を果たしたのがポッドキャストだった。今秋の最大のメディアイベントは討論会と、ハリスとトランプがそれぞれ人気ポッドキャスト『コール・ハー・ダディ』と『ジョー・ローガン・エクスペリエンス』に出演したことだった。 米国の成人の半数近く、1億3600万人が毎月1本以上のポッドキャストを聴いている。世界の聴取者数は現在5億500万人で、インターネットの利用者の4分の1に達している。トランプが『ジョー・ローガン』、『レックス・フリードマン』、『ディス・パスト・ウィークエンド with テオ・ヴォン』に出演したとき、彼はマノスフィア(男性中心のオンラインコミュニティ)を取り込み、メディアの地殻変動に乗っていたのだ。最大かつ最も説得力のある聴衆(すなわち若い男性)にリーチする最も効率的な方法は、ポッドキャストを通じてなのだ。これに匹敵するものは何もない。
リーチとターゲット
ローガンはSpotifyで1600万人の登録者を抱え、他のプラットフォームを通じてさらに多くの人々にリーチできる。ライブポッドキャスト配信から3日後には、彼とトランプの3時間におよぶ対談がYouTubeで4000万回も再生された。音声のダウンロード数も1500万回を超えたと推測される。ハリスの選挙陣営が何をすべきだったかについては、今後多くの人が検証するだろう。オースティンまで飛んでローガンに会いに行くのは、実行できたはずの簡単な選択だったのに。
既存メディアの限界
比較のために言えば、トランプがフォックスニュースの『ガットフェルド!』に出演したとき、通常300万人程度の視聴者しかいない番組で500万人にリーチした。そのフル動画のYouTube再生回数は230万回だ。ローガンと同じくらいの人数にリーチするには、『ガットフェルド!』と同程度の視聴者数を持つケーブルテレビ番組に、少なくとも3回、別々に1時間ずつ出演する必要があったはずだ。 そのような番組は一握りしかなく、しかもすべてケーブルニュース視聴率トップのフォックスの看板番組だ。他のニュース局に出演しても時間の無駄でしかなかっただろう。CNNの通常の視聴者数は100万人を下回り、CNBCに至っては10万人以下だ。 要するに、この比較はリンゴとコカインほど次元が違う。具体的に言えば、ポッドキャストの聴衆は数が桁違いに多いだけでなく、若く、男性が多く、より説得しやすいという点でもはるかに価値が高い。選挙陣営が、まだ決めかねている、あるいは投票するかどうか迷っている何千万人もの有権者を集め、候補者が成功できるように設定された環境で3時間も対話させることができたとしたら? トランプの選挙陣営はポッドキャストを優先戦略とすることで、まさにこれを実現したのだ。