トランプが勝利したのは「ポッドキャスト」で若い男性の心を掴んだためだ
注目があれば収益は付いてくる
私たちの経済は、化石燃料を基盤とするものから、注目を集めることを基盤とするものへと完全に移行した。注目を集められれば、収益は後からついてくる。 例を挙げよう。2024年のテック系IPOで最高のパフォーマンスを見せた企業は、米国で4番目に人気のウェブサイトでありながら、7ヵ月前にナスダックに上場した時の企業価値はたった57億ドルだった。それ以来、Reddit(ナスダック:RDDT)の時価総額は274%も上昇している。 Meta、TikTok、Alphabet、そして(今では)Redditと同じペースで成長している広告支援型メディアは、ポッドキャストしかない。ポッドキャストの収益は今年18%増加した。これはAlphabet(15%)やMeta(17%)と同等の成長率だ。 ポッドキャストが獲得している注目度は、その広告収入の規模をはるかに上回っている。しかし、この差は次第に縮まっていくだろう。わたしの見立てでは、TikTokを除けば、ポッドキャストの広告収入は他のどのデジタルプラットフォームよりも急速に成長するはずだ。来年のポッドキャストの広告収入は20%以上伸びると予想している。聴取者数も増加を続け、MetaやAlphabetと同様に、ユーザー1人あたりの収益も劇的に増加するだろう。 その理由は、広告主たちがようやく、若くて裕福な消費者たちがここに潜んでいたことに気づき始めているからだ。現在、ポッドキャストの1000回再生あたりの広告料金は、30秒広告で約18ドル、60秒広告で25ドルとなっている。
フレンドリーな関係性
人々が外で私に声をかけてくる時、彼らがどこで私のコンテンツに触れたのかは一目瞭然だ。ハイタッチしてノリの良い会話をしてくるなら動画視聴者。まるで旧友のように挨拶してくるならポッドキャストのリスナーだ。 ポッドキャストは極めて親密なメディアなのだ。文字通り、誰かの耳の中に入り込み、その人が皿を洗っていたり、運動していたり、犬の散歩をしていたりするような私的な時間に寄り添う。そこにいるのは、あなたと相手だけ。広告主がポッドキャストを好むのはこのためだ。聴衆の「これは広告なんだ」という防壁が普段より薄いのだ。リスナーの警戒心が下がっているのである。伝説的ニュースキャスターのトム・ブロコウでさえ、こんな関係を視聴者と築くことはできなかった。 この親密さこそが、ポッドキャストをインタビューに最適なメディアにしている。ローガンとの対談でのトランプは、いつになく打ち解けてリラックスしており、一緒にビールでも飲めそうな雰囲気だった。これはポッドキャストならではの特徴だ。このメディアには、ゲストを好意的に見せようとする空気がある。ケーブルテレビのように、司会者が「おや、失言があった!」という瞬間を狙っているわけではない。ゲストの話を自然な流れのまま展開させるのだ。 最初、人々はポッドキャストを「ただのラジオじゃないか」と批判した。しかし違う。ポッドキャストは時間に縛られない。リスナーにとっても配信者にとっても、オンデマンド(つまりストリーミング)なのだ。司会者は話題にどれだけの時間を使うか、あるいは使わないかを自由に決められる。 考えてみてほしい。映画が持つテレビに対する主な商業的優位性の一つは、プロデューサーがコンテンツの展開とその長さを自由にコントロールできる点だった。後にネットワークテレビが課すようになった21分や41分という時間枠に縛られることはなかったのだ。ローガンはトランプの話を、1時間でも4時間でもなく、ちょうど3時間聴衆に届けるのが適切だと判断した。 テレビのアンカーやラジオのホストは、同じサイズのキャンバスを使って、独自の芸術作品を生み出すよう求められているのだ。