「おいしくない、開発者を出せ」などの声も...。ローソン衝撃の新作「飲むマヨ」の開発秘話とその狙いに迫る
現在、コンビニエンスストアチェーンのローソンで販売されている「飲むマヨ」をご存知だろうか。発売前からSNSなどで話題となっており、2024年11月26日の発売以降、前代未聞の商品として賛否両論が巻き起こっている。それにしても、なぜこのようなユニークな商品を開発するにいたったのか? 【写真】「飲むマヨ」とトマトジュースをコップに混ぜて飲むのがおすすめ、と山田さん 今回は、株式会社ローソン 飲料・加工食品部 マーチャンダイザーの山田ちひろさんに、「飲むマヨ」の開発秘話と消費者からの反響などについて話を聞いた。 ■お客さまの背徳感を満たすため!「飲むマヨ」の開発秘話 「飲むマヨ」の開発は、山田さんが社内の同期と話していた際、ある飲食店のハンバーグに付いてくるマヨネーズがとてもおいしいと話題になり、「これなら飲めるよね」との会話がきっかけだったそう。 「調べてみると、芸能人やYouTuberを始め、マヨネーズ好きの方がけっこういることがわかりました。そこで『そのまま飲むのは罪悪感があるため、実際には飲めていない方も多いのでは?』という仮説を立て、その背徳感を満たせる飲めるマヨネーズを作ろうと開発がスタートしました」 マヨネーズといえば一般的に高カロリー・高脂質な調味料だが、「飲むマヨ」のカロリーは79kcal、脂質も4.1グラムと意外にもヘルシー。味もマヨネーズの油っぽさとコク、酸味を見事に再現しているが、その開発過程とは一体? 「本物のマヨネーズと試作品を交互に味見しながら開発を進めたのですが、最初の試作品は少し甘く、デザートのような味になりました。そこから調味料メーカーさんのアドバイスを受け、マヨネーズ風味のシーズニング(※)を加え、酸味とのバランスを調整。約6カ月かけてようやく完成しました」 ※食品に風味を加えるための調味料 ただ、ここまでヘルシーな商品になったのは偶然とのことで、「『意外とカロリーが低いから、体を気遣う人によいかもしれない』と反応をいただいて、初めてそうした需要があるのだと知りました」と山田さん。 ■「おいしくない、開発者を出せ」などの過激な声も...。評価は賛否両論 かくして、11月26日に発売された「飲むマヨ」。マヨラーやマヨネーズ好きからは好評を得て、「私は好き!」「もう1本買いました!」などの声が寄せられたが、批判も多く、なかには「おいしくない、開発者を出せ!」といった過激な意見もあったとか。 「SNSや記事での批判を受け、かなり責任を感じまして…。どうしたらおいしく飲めるのかを発売後の休日にずっと検証していました。その結果、「飲むマヨ」にトマトジュースを混ぜると、トマトの青臭さが消えてちょうどよい味になることがわかりました。私は「飲むマヨ」とトマトジュースを1対4の割合で混ぜるのがおすすめですが、社内では1対1でもよいという声もあったので、気になる方はぜひ一度試してみてください」 一方で、山田さんは「『飲むマヨ』はSNSが発達した昨今、おもしろい商品や話題の商品を見つけて投稿し、『いいね』をもらいたいといったニーズにも応えられる商品だと思っています」とも語る。 「もちろん味にはこだわりましたが、それと同じくらいお客さまに楽しんでいただきたい想いが強くありました。そのため、コンビニではこうした目を引く商品の存在も重要だと考えています。ですから、さまざまなご意見をいただけたことは素直にうれしかったですね」 ■「飲むからしマヨネーズ」など第2弾にも意欲的! 「飲むマヨ」の発売からしばらく経ち、今もSNSや記事を中心にさまざまな意見や感想が飛び交っている。しかし、否定的な意見を持つ人もそのまま捨てるのではなく、工夫して飲み切っていることが多いのだとか。 「サラダのドレッシングやカルボナーラのソース、カレーの隠し味、カップ麺のシーフード味に入れるなど、私たちが想像もしなかった楽しみ方をしてくださる方が多くいらっしゃいます。SNS時代ならではの十人十色の工夫が見られて、開発者冥利に尽きます」 「飲むマヨ」というセンセーショナルな商品を発売し、その反響を踏まえて、最後に第2弾の計画があるのか聞いてみた。 「現在、『飲むからしマヨネーズ』や『飲む明太子マヨ』、『飲むデミグラスソース』などを開発してみたいと部署内で話し合っています。発売の際には、飲むだけでなく、いろいろなアレンジを楽しんでいただければ幸いです」 固定観念にとらわれない多彩な商品で私たちを楽しませてくれるローソン。次はどのような新商品を開発してくれるのか、いちユーザーとして期待して待ちたい。 取材・文=西脇章太(にげば企画)