欧州中央銀行、3会合連続の利下げ…独仏で政治混迷・トランプ氏の関税方針も重荷
【フランクフルト=秋山洋成】欧州中央銀行(ECB)は12日、定例理事会を開き、3会合連続で利下げを決めた。民間銀行がECBにお金を預ける際に適用する「中銀預入金利」は3・25%から3・0%へ0・25%引き下げた。ECBは6月に4年9か月ぶりに利下げを決め、金利引き下げは今年4回目となる。
インフレ(物価上昇)は目標の2%程度に収まってきたものの、欧州経済が低迷していることが背景にある。経済大国のドイツ、フランスでは政治情勢が混迷し、米国のトランプ次期大統領の関税引き上げ方針も重荷になっている。
ECBのラガルド総裁は理事会後の記者会見で「経済は減速しており、一部の欧州産業は競争力の維持に苦戦している。世界貿易の摩擦拡大は、ユーロ圏の成長を圧迫する可能性がある」と述べ、経済成長の見通しを下方修正したことを明らかにした。
ユーロ圏の消費者物価指数の上昇率は2022年10月、前年同月比10%超とピークに達した。その後はエネルギー価格が落ち着き、今年11月には2・3%となった。
一方、コロナ禍のインフレ対応で相次ぎ利上げした影響で、欧州経済は弱含んでいる。ドイツでは製造業を中心に企業の業績が振るわず、フォルクスワーゲンなど自動車業界では工場閉鎖や人員削減の方針の表明が相次いでいる。
ドイツでは11月に連立政権が崩壊し、フランスでも12月に内閣に対する不信任動議が可決されるなど、政治情勢も混迷している。さらに、トランプ氏の関税強化方針で、欧州経済の不透明感は増している。