65歳で定年した後、90歳まで「毎月50万円」ずつ使って”プチ贅沢”したいです。定年までに貯蓄はいくら必要ですか?
「老後の生活設計を定年前にしっかり考えておきたい」と考える人は多いのではないでしょうか。定年後の収入源が年金しかない場合、悠々自適な暮らしをするには、一定の蓄えが必要でしょう。 今回のケースのように「毎月50万円」を使うとなると、貯金の一部を崩しながら生活していくことになるかもしれません。本記事では定年後の支出と収入を比較しながら、毎月50万円を使う場合に必要な貯蓄額をシミュレーションします。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
標準的な年金額から見る必要な貯蓄額
今回のケースにおいては「夫婦2人の世帯が厚生年金を受け取りながら生活する」という前提でシミュレーションします。 ■厚生年金のみだと毎月約27万円不足する可能性がある 日本年金機構によると、令和6年度における厚生年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な額)は月額「23万483円」とのことです。仮に毎月50万円を使う場合、収入が23万483円なら、毎月26万9517円の不足が生じる計算になります。 ■不足分をカバーするには約8100万円の貯蓄が必要 上記の不足額を踏まえて、65歳から90歳までの25年間(300ヶ月間)にかけての合計不足額を計算すると「8085万5100円」です。 したがって、65歳以降、夫婦2人が厚生年金の標準的な額を毎月受け取れると仮定すると、定年までに貯蓄しておくべき額は、少し余裕を見て約8100万円といえます。
個人の収入・支出によって必要貯蓄額は左右される
上記のシミュレーションにおける収入は、あくまで標準的な年金額に基づいたものであり、必要な貯蓄額は個人の状況により大きく異なります。 例えば独身で国民年金(老齢基礎年金満額)のみが定年後の収入源である場合、日本年金機構の令和6年度の年金額を参照すると、満額受給では月額で「6万8000円」です。 この額をベースにすると、月50万円の出費がある場合、43万2000円の不足が毎月生じます。この場合、65歳までに必要な貯蓄額は「1億2960万円」で前述の例よりも多くなります。 退職金の有無や額によっても、貯蓄額に影響が出ます。多額の退職金が出ると仮定すれば、通常の給与収入から貯蓄すべき額は相対的に減るでしょう。 また今回のケースでは「毎月50万円の出費」をベースに計算していますが、それほどの出費がない世帯も多いでしょう。実際、総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、夫婦のみの無職世帯(65歳以上)の平均消費支出額は1ヶ月あたり25万959円でした。 今回のケースと比べて25万円近く支出がおさえられているため、受け取る年金額にもよりますが、定年までの必要貯蓄額はもっと少なくなる可能性があります。