大規模経済対策に大義はあるか:中長期財政見通しや財政健全化目標への影響についても国民に説明すべき
財政健全化目標についても衆院選で議論すべき
経済対策、補正予算編成が、この先の財政見通しに与える影響についても、与野党は、選挙戦を通じてしっかりと説明するのが、国民に対して責任ある姿勢だろう。 内閣府が今年7月に示した中長期の経済財政試算で、2025年度のプライマリーバランス(PB)はGDP比+0.1%のプラスになるとの見通しが示された。2025年度のPB黒字化は達成可能であるとの見通しだ。 この試算値自体の信頼性には疑問があるが、この試算は2024年度の補正予算編成を前提にしていない。GDPの2%超の規模となる予算規模13兆円超の補正予算が編成されれば、その予算執行のタイミングに影響を受けるものの、2025年度のPB黒字化という政府目標は達成できなくなる可能性がほぼ決定的になる。 巨額の経済対策、補正予算を打ち出すのであれば、それが中長期の財政収支に与える影響についてもしっかりと見通しを示し、2025年度のPB黒字化という政府目標をどのように修正するのかについても国民に丁寧に説明することが求められるのではないか。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英