幅5.5m未満の『生活道路』 2年後に法定速度60キロ→30キロへ 車の時速30キロ超で致死率が上昇
■「車にひかれそうになった」 生活道路を使う車は半数以上が時速30キロ以上
生活道路を走行する車はどれくらいのスピードを出しているのでしょうか。 【記者リポート】「子供たちがよく使う道、スクールゾーン。この付近は、歩行者や自転車がよく通る住宅街、生活道路です」 大阪市西区にある生活道路。 法定速度は時速60キロですが地域の住民は…。 【地域住民】「結構ひやっとすることあります。工場とかがあって路駐しているので、道も余計に狭くなっている。(スピードを)出してる車、結構いますね」 【地域住民】「抜け道に使われる方が多い。信号とかないので、使いやすい」 【地域住民】「車にひかれそうになった。事故が起きそうになって、びっくりした」
取材すると車が何台も行き交い、歩行者のすぐ脇を通って行きます。 スピードを測ってみると… 【記者リポート】「車の速さは時速38キロ。道が狭いので、体感ではもう少し早く感じるほどですね」 30分の間に通った車は20台。うち半数以上が時速30キロを超えるスピードでした。 こうした道路は2年後には法定速度が時速30キロになる方針です。
一方、専門家は「道路の特性に応じたルール作りが必要だ」と話します。 【筑波大学 石田東生名誉教授】「ただ道路が細いから、幅が5.5メートル未満、センターラインがないというだけで、本当にドライバーは時速30キロを守ってくれるか。地域によって状況が違ったり、色んな人たちがいるので、そういう人たちと合意形成をどう取るか、ものすごく大事」 歩行者の安全を守るために乗り出した新たな対策。 警察庁は法改正に向け6月29日まで、一般から広く意見を募集するということです。
■法改正とともにドライバーの意識・常識の再教育が必要
生活道路の“法廷速度引き下げ”へということですが、課題もあります。 中央線や中央分離帯などのない、幅が5.5メートル未満の生活道路の制限速度を60キロから、30キロに引き下げることになりそうです。 ただし、すでに速度規制がある場合は、現行のままということで混乱しそうです。 交通事故を減らすためには、こういったハード面の整備とともに、ドライバーひとりひとりの意識も変えていかないといけません。 【ジャーナリスト安藤優子さん】「60キロってすごい速さだと思います。特に身近に感じる生活道路は幅が狭いわけですよね。だから自転車も走行すればオートバイも走行する。それから車も走る、そして歩行者がいて、いろんなその形で5.5メートル未満のところに混在しています。そこを車がもし60キロで走ったらば、とんでもないスピードだし、私は本当に危ないと思います。だからこういう引き下げは大賛成です。それ以前の問題として、ドライバーの常識として、例えば住宅街の道路を走る時に騒音の問題とか、それから安全性の問題や『角からもしかしたら子供が出てくるかもしれない』という想像力を働かせる。つまりリスクに対する予測、不測の事態に対する想像力はドライバーにとっては絶対必要なものです。だからこそ住宅道路とかそれからこういう生活道路で不要なスピードを出すこと自体が、あってはならないことだと私は常識として。ドライバー教育の中に、そういう常識的なものも組み込んでほしいと思います。つまり法定速度に従えばいいってもんじゃないよっていう」