とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
平均出産年齢は42年間で4.5歳上昇
では、出産についてはどうでしょうか。母親の平均出生時年齢の推移は以下の通りで、1980年から2022年の42年間で4.5歳上昇しています。 【母親の平均出生時年齢/第一子】 1980年:26.4歳 1990年:27.0歳 2000年:28.0歳 2012年:30.3歳 2022年:30.9歳 また、前出の厚生労働省「人口動態統計」(2022)によれば、母の年齢別出生数は以下の通り。30代が圧倒的に多く、40代も4万人以上いることも目を引きます。 2022年 母の年齢別出生数 ・20代:25万5,355人(33.0%) ・30代:46万2,844人(60.0%) ・40代:4万7,938人(6.2%) ※10代は4,558人、50代以上は58人。カッコ内は総数77万759人から単純に割り戻した割合。総数には母の年齢不詳も含む このように晩婚化と出産年齢の高齢化が確実に進む中で、子どもの教育費と自分の老後資金準備の時期が重なり、経済的に立ちゆかなくなるという事例も増えています。 仮に40代後半の男性が結婚し子どもを授かったとします。すると子どもが大学入学の18歳になるころには60代になり、年金受給も近づいている中で教育資金のピークがやってくることになります。 しかも、収入は年金を受け取るまで右肩上がりというわけではなく、50代以降は下がる傾向にあります。そのため、お金の管理をしっかりしておかないと、大変な事態に陥る可能性も……。例えばこんなケースです。
65歳元会社員が老後破産の危機…「娘のため」と暴走
田中幸一さん(仮名)は65歳。中小企業で長年営業マンとして働いていました。8歳年下の妻と出会ったのは田中さんが44歳のときです。 ひとり娘が誕生したときには46歳になっていた田中さんは、「この年で父親になれるなんて。でも、年をとった父親だと娘が引け目を感じるかもしれない。そうならないよう、できるだけのことはやってあげよう」そんなことを考え、娘溺愛パパに変貌したのです。 その結果、娘にかけるお金には糸目をつけなくなりました。欲しいものは買い与え、教育にも熱を入れ中学校から私立へ。通学が楽なようにと駅近のマイホームも購入しました。 家計に余裕があれば問題はなかったのですが、実際はその逆でした。結婚当初は営業課長として年収700万円程度を受け取っていた田中さんですが、50代で役職定年となり、60歳以降の嘱託社員時には年収が350万円ほどになっていました。 一方、妻は週3日のパート勤務。田中さんの収入が下がっても勤務を増やすことはありませんでした。というのも、家計の手綱は夫である田中さんが握っており、妻は実態を把握していなかったからです。 そんな不安定な家計の中で娘にお金をかけ続けた結果、自分の老後資金を一切準備できないまま65歳に突入してしまったのでした。独身時代に貯めた貯金はとっくに枯渇し、60歳時で受け取った退職金もみるみる減っていくばかりです。 しかし、その事実を妻と娘に話すことはなかなかできません。甲斐性のない夫・父親だと思われたくないという妙なプライドがあったからです。 65歳になり受け取り始めた年金は月20万円程度(加給年金含む)、妻のパート代と合わせれば30万円程度です。しかし、住宅ローンの返済や家族の生活費、娘の学費やおこづかいでそのほとんどが消えてしまいました。 そうして数カ月がたち、いよいよ危機的な状態だと悟った田中さんは、妻に通帳を見せて状況を告白しました。 「すまない、このままでは生活していけそうもない……」 残高は100万円を切るほどになっていました。お金のことは夫に任せておけば安泰だと信じていた妻は、あまりのことにしばし呆然。 しかし、自分が家計に無関心すぎたことを反省し、夫には1日も早く再就職をするように言い、自分もパートを増やすために奔走。家を売ることも視野に入れ始めました。 娘にも事情を説明しましたが、そこそこ裕福だと思っていた自分の家の金銭的危機に「信じられない」「この先が怖い」と言うばかり。 娘のためと思ったことが、結果的に大きな不安を抱えさせることになり、田中さんは無計画なこれまでの行いを心底悔やむことになったのでした。
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