「ダサいイメージ変える」町田の市民向け生成AI導入から2カ月、見えてきた成果と課題
東京都町田市で、生成AIを活用した一風変わった取り組みが始まっている。 同市のバーチャル市役所ポータル「まちドア」を訪れると、「引越し」や「住民票」などの手続きのカテゴリーが書かれたアイコンがずらり。中央にはポップなキャラクターのイラストと共に「AIナビゲーター」の文字が目を引く。 【全画像をみる】「秘書雇うより安い」町田、全職員にChatGPT。デジタル戦略で、住民向け生成AI・アバターも 「住民票の取得方法を教えて」「子育て支援の内容知りたい」などと入力すると、3Dアバターが身ぶり手ぶりを交えて手続きを案内してくれた。 「どこの自治体もDX(デジタルトラスフォーメーション)の文脈で色々と取り組んでいますが、LINEやマイナポータルなど入口がバラバラで分かりにくいことが多く、役所のアプリも言葉が難しい上、なんだかダサい。 『民間レベルのイケてる感じのアプリを作りたいよね』という課題感や、役所として生成AIを最初に利用していきたいといった思いから、アバターを使ったAIナビゲータというユニークな取り組みを始めました」 こう語るのは、町田市役所でデジタル総合戦略室の和田進吾さんだ。行政の「お堅い」イメージからは想像できない、町田市のDX、生成AI活用の取り組みの背景を聞いた。
住民の「こんな手続きがしたい」に、回答する生成AI
「まちドア」は、「バーチャル市役所」として2024年4月に誕生した町田市のデジタルサービスが集約されたポータルサイトだ。「AIナビゲーター」は7月に追加機能として導入された、生成AIを活用した住民向けのサポート機能だ。 例えば、まちドアで 「体育館でバドミントンをしたいのですが、どうすればいいですか。」 と質問をすると、関連しそうな手続きがいくつか表示された。その中から「施設案内予約システム(集会・学習施設用)のご案内」を、これをクリックすると 「文化・スポーツについてだね。施設案内予約システム(集会・学習施設用)のご案内について説明するよ。 オンラインで、集会や学習施設の予約ができるんだよ。 以下のリンクをクリックしてね。」 と申請ページにつながるリンクが表示された。 行政でもオンライン申請が当たり前のように普及しつつある昨今、一方で申請フォームがどこにあるのか、そもそもどんな手続きをすればよいのか分からない課題も残っていた。生成AIの登場によって、住民の「こんな手続きをしたい」に答えるサービスを提供できる可能性が見えてきたわけだ。 和田さんによると、9月末までに約6000回、一日あたり約100回の利用があったという。 使われ方としては、保育園への入園手続きなどの事務案内に加えて「町田市の駅前で美味しいラーメン屋さんを教えてください」というような雑談も寄せられている状況だ。