50歳から52歳へ、閉経年齢が遅くなっている! 最新データで見る閉経年齢のリアル【我慢しないで快適に過ごす、閉経への道 ⑩】
腟内環境を整えるために必要なのは、乳酸菌だった!
「それでも、日本人は閉経が遅いほうだといわれています。HPVの感染率に民族性が関係しているといわれているように、閉経年齢にも『民族差』があるのでしょうね。 民族差というのは遺伝的なものもありますが、さまざまな生活習慣などバックグラウンドも含まれます。乳酸菌を作れるかどうかもそういうことと関係しているんじゃないかと思いますね。白人もですが、日本人はわりと乳酸菌を作れるとされています。 最近はフェムケア製品でも乳酸菌入りのものがだんだん出てきていますけど、乳酸菌は腟内環境と密接に関係があります。 腸内フローラと同じで、腟内フローラにも善玉菌である乳酸菌は大事ですが、女性ホルモンが減ると腟上皮が薄くなるのでグリコーゲンが減って、腟内の乳酸菌も減るんですよ。なので、腟内の乳酸菌を増やして腟内を弱酸性にして雑菌の侵入を防ぐことは確かに有効です」 かといって、乳酸菌は腟に入れなくても、普通に口から飲んでも意味があるそう。 「というのも、乳酸菌を飲んで、それがお通じになって出た後に、1週間すると腟の中にその乳酸菌が増えてくることがわかったんです。肛門と腟の間は4cmくらいなんですが、1週間でその4㎝を乳酸菌が移動するということです。 それから、腟内環境がよくないと膀胱炎も多くなってくるんです。腟内にいる大腸菌が膀胱へ入るんですよ。腟と尿道口の間は2cm足らずなので、移動が早い!膀胱にいる大腸菌と腟内の大腸菌が同じ性格を持っているという論文がもう出てきてるんです。女性が難治性の再発性膀胱炎になりやすいっていう理由がわかりますよね。 とにかく腟内環境のためには乳酸菌はとったほうがいい。ビフィズス菌まで含めると、乳酸菌の機能性表示食品は180種類くらいあるんじゃないかな。菌の種類を菌株といいますが、機能性表示は菌株に限定したもののことです。乳酸菌によって作用が違うので、いろいろ試して調子がよければ自分に合ってるかもしれないと思って続けてみましょう。 でも、腟内環境の変化は、腸内環境のように効果がわかりにくいのでは? と思うかもしれませんね。この指標はあります。おりものの増加と臭気、痛みやかゆみ、細菌性腟症の出血。これらがなくなり快適になるかどうかです。この3つを目安にすると、腟内環境の変化がわかりますよ。 腸内フローラは閉経前でも後でも変わらないかもしれませんが、腟内フローラは大きく変わるので、閉経後は快適性が得られにくいのです。そのことを肝に銘じて乳酸菌を取り入れて、『腟活』を心がけてくださいね」
【教えてくれたのは】 太田博明さん 川崎医科大学産婦人科学 特任教授。日本産婦人科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本抗加齢医学会監事・専門医。日本の女性医療をリードするパイオニア。骨粗しょう症・アンチエイジング分野の第一人者 イラスト/Shutterstock 取材・原文/蓮見則子