50歳から52歳へ、閉経年齢が遅くなっている! 最新データで見る閉経年齢のリアル【我慢しないで快適に過ごす、閉経への道 ⑩】
痩せている女性は閉経が早い⁉ 脂肪が多いほうが若さを保てる⁉
「それから、朗報がありますよ!40歳以上で最後の月経から1年経ったとき、月経が止まった日を閉経としますが、閉経したと思っても復活することがあります。 これは2008~2009年にかけて私が担当したある治験データをまとめ、2012年に論文として出したもの。それによると、40歳以上で閉経した女性のうち、10人に一人くらいに月経が復活していたんですよ。 40歳未満で閉経することを早発閉経と言いますけれど、そうかもと思った人も、ちょっと希望が持てるんじゃないでしょうか。閉経後に月経が復活することは、医師でも知らない人はたくさんいますが、実は全体として約1割の人が月経が戻ってる感じです。 そうだとすると、早発閉経後に排卵・妊娠・分娩した例が報告されているのにも、納得がいきますね。自然に月経が復活した理由は生活習慣や体質、遺伝など、さまざまあるでしょう」 その観点から言うと、痩せている女性は閉経が早い。ある程度皮下脂肪のある人のほうが閉経は遅いはずと太田先生は続ける。 「皮下脂肪から分泌されるホルモンにレプチンというのがあるんですが、これが女性ホルモン『エストロゲン』の分泌を促すんです。皮下脂肪が少なくなればレプチンが分泌されない。つまりエストロゲンも低下して、閉経を早く迎えることになる。40歳を過ぎて痩せ願望のある人は、ちょっと考えを改めたほうがいいかもしれませんよね。 閉経の早さには明らかにタバコも関係しています。喫煙している女性の閉経年齢の中央値は、喫煙していない女性よりも明らかに低いというデータがあります。 また、遅い閉経を望むなら、出産は遅いほうがいいんですよ。妊娠して無月経になると卵巣が休めるわけです。卵巣は、疲れてきてからちょっと休ませてあげたほうが長持ちして、閉経が遅くなる。高齢出産にはリスクが伴いますけれど。 昔から、多産のほうが閉経は遅いとされています。卵巣の休み期間が何度もあるし、遅い年齢まで妊娠することが多いのでね。今みたいに一人か二人しか産まない人は、卵巣の休みが少ないので、卵巣が早く老化すると言ってもいいと思います。 遅い早いで言えば、18歳から22歳、女性の卵巣機能がいちばん元気なときに月経が規則的だった人より、不順だった人のほうが閉経は遅いと読み取れるデータもあります。卵巣を休ませるということは、後でホルモンの加護を受けられるということ。意外かも知れませんが、嘆く必要はないんですよね。 それと、病気などの理由で卵巣を片方摘出した人は、両方ある人よりも閉経が早くなります。卵巣は毎月、左右交互に排卵しているので、ふたつあれば隔月でお休みできるんですよ。ひとつ残っていればふたつ分働けるとはいいますが、やはりひとつだけでは毎月排卵しなくてはならず、休めない。卵巣が疲弊してしまう。働き過ぎはいけません。過労死と同じことです。片側の卵巣摘出は閉経を早めることは間違いないと思いますね。 それにね、卵巣は閉経しても残っていたほうがいいんです。閉経しても、副腎と卵巣から男性ホルモンの前駆物質DHEAなどがつくられますから、健康寿命に影響を与えると思いますね」 加えて、女性ホルモンの恩恵を受けられる期間が長いほうがいいという意味で、閉経は、なるべく遅いほうがいいそう。 「男女を比べると、55歳で男女の体内のエストロゲン量が同じになっちゃうんです。60歳になると、男性のほうが女性よりも女性ホルモンが約2倍多い。 実は、45歳くらいまで男女の骨密度は同じなんですよ。そこから女性は骨密度が減り出します。女性ホルモンが本当に枯渇していきますから。女性ホルモンがガクッと急激に減るのは閉経直後から2年、3年ぐらいの間。そのとき骨密度がいちばん落ちるんです。2番目に減るのは閉経前の2年間です。 閉経が近づいて月経不順になった人は、月経が正常にある人と比べるとエストロゲンの量がかなり違うんです。月経が来る程度のホルモン量はありますが、骨密度はもう維持できないレベル。女性ホルモンは月経があっても閉経の前からもう減り出す。これを覚えておくと指標になると思います」