「100歳以上生きる人」の共通点とは? 500人以上の百寿者と面談した専門家が明かす 「老害という言葉を危惧している」
日本の“ねじれ”
他方で、日本、アメリカ、中国、フィンランド、韓国、ドイツの6カ国の20~70代を対象にした調査では、「100歳まで生きたいと思いますか?」という質問に対して、日本で「とてもそう思う」と答えた人は8.1%と6カ国中最下位。5位だったドイツの15.3%の約半分、トップのアメリカの31.2%と比べると4分の1程度です。 長生きできる国なのに、長生きしたくない。100歳になる可能性が高いのに、100歳になりたくない。 このような“ねじれ”が生じているのが、日本の現状です。なぜ、こうした現象が起きているのでしょうか。なお、私たちの調査では、30~75歳の人に「何歳まで生きたいですか」と尋ねたところ、平均寿命以下の「80歳」と答えた人が最多でした。 日本人の寿命は延び続けています。そして高齢者の数が増えると、その分、必然的にピンピンコロリではない人の数も増加します。つまり、自立できていて元気というわけではなく、寝たきりのような状態の高齢者の姿を目にする機会が以前に比べて多くなった。そういう人たちばかりに目がいき、言葉は悪いですが、「ああなってまで生きたくはない」と感じる人が増えている。超高齢社会の日本はいま、このようなフェーズに入っているからこそ、「100歳になりたくない」という人の割合が高くなっているのだと私は思います。
「ピンピン」か「地獄」か……
1992年にCMに起用され、元気な100歳の双子として「きんさん、ぎんさん」が話題になった頃は、「きんさん、ぎんさんみたいになりたい」と、“ウブ”に考えていた人が多かった。それに対し、いまは「100歳になれたからといって、きんさん、ぎんさんみたいになれるとは限らない。それはイヤだ」と感じる人が増えているのではないでしょうか。 そうした空気が醸成される背景には、メディアの報道も影響しているでしょう。「介護地獄」のような悲惨で恐怖感が漂うケースを取り上げたほうが関心が集まりやすいので、そうした類のニュースが多く報じられる。一方、百寿者を紹介する場合は、驚くほど元気な人を取り上げたほうが注目されるので、冒頭で触れたようなピンピンコロリコースを歩んでいる人を好んで紹介する。「ピンピン」か、さもなくば「地獄」か。両極端の情報に慣らされると、元気なうちに80歳くらいで死にたいと考える人が多くなってしまう……。