社会人が勉強のモチベーションを保つには? リスキリングを成功させるポイント
リスキリングを始めても、働きながら勉強をすることは大変なもの。学習のモチベーションを維持し続けるのは簡単なことではない。本稿では、Reskilling Camp Company代表の柿内秀賢氏が教える「リスキリングメソッド」を、書籍『リスキリングが最強チームをつくる』より紹介する。 稼ぎ口の多さは「宅建」が最強...ミドル世代に役立つ資格一覧 ※本稿は、柿内秀賢著『リスキリングが最強チームをつくる 組織をアップデートし続けるDX人材育成のすべて』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。
「受け身」の学習から「アウトプット中心」の学習へ
実際に新たなスキルや知識を得るためには、Udemyなどのオンラインサービスや書籍といった学習コンテンツが役に立ちます。 しかし、ここで知識習得上の問題が発生します。そうしたコンテンツをただ受け身で享受しているだけでは、内容を本当に理解できているか不安になってしまうという問題です。 たとえば、ニュースで流れてくる政策の内容を自分では分かっているつもりでも、いざ人に話そうとするとうまく説明できなかったり、子どもの無邪気な質問にうまく答えられなかったりといった経験は、皆さんもお持ちではないでしょうか。 学習においても同じことが起こります。この問題を解消するためには、学習の早い段階で、定期的にアウトプットすることが重要になります。 リスキリングの支援の事例では、資格を獲得する前段階で、模擬試験を定期的に受けていただきました。最初は合格点に程遠くとも、出題された内容の意味が理解でき、何について答えればいいのかが分かったうえで解答できた問題があれば、それだけで自信になります。 逆に、あてずっぽうで解答して間違えた問題に対しては、どの程度の深さで理解しておかなければ解けないのか、学習するうえでの大きなヒントになります。
モチベーションの維持は3つの視点で
これまで、業務時間内での学習や、業務後の自主的な学習をほとんどしたことがない場合、習慣がなければ、とても大変です。 実際の支援でも、3日、1週間、1か月......と学習が止まってしまうことがありました。やらなくてはいけないのは分かっているのだけれど、今日は忙しかったし、トラブルもあって疲れたし、明日頑張ろう......。誰もが一度は経験したであろう自分への言い訳が、ほとんどすべての方に発生します。本稿で紹介するリスキリングメソッドには、この問題を解決するための3つの視点が盛り込まれています。 ①最初に決意を自問自答する機会を持つこと ②誰かと約束を交わすこと ③楽しくなるまで信じて続けられるよう伴走すること ①は学習開始時の上司との対話の中で行われます。学習することについて対話することが、その後のモチベーションにつながります。 忙しい日々の中で、ある日を境に、他人が立てた学習計画に従って学習を続けるのは、容易なことではありません。人が決めたことをやらされていると感じている状態では、学習を続けることはおろか、開始することすら難しいでしょう。自分でやると決めて、学習計画に従うと腹落ちすることが大事なのです。 ②についていえば、自分でやると決める、つまり自分と約束するだけでは不十分です。中には意志の固い方がいて、自分とした約束を何が何でも守り切れるという人もいるかもしれません。そのような資質を当てにしないのが、このメソッドの考え方です。 自分に甘くて、やらない言い訳、今日サボってもよい理由、それを押し返しきれない人でも、意外と人は誰かと約束したことは守れたりします。 だらしがない人間だと思われたくない、言い訳ばかりしている人間だと思われたくない、あの人も頑張っているのだから自分も頑張ろう、認めてもらいたいから頑張ろう、一緒にやっていると楽しいから頑張ろう……このように、誰かと約束することは継続のモチベーションになるのです。 ③についていえば、学習の最初の頃は分からないことがたくさんあります。分からないことを楽しめといわれても、普通はなかなか難しいものです。 趣味やスポーツにおいて、最初はうまくできなくても、少しずつできることが増えて、人から褒められたり、試合で結果が出たりといった過程を経るうちに、次第に楽しさを感じるようになってきます。学習もそれと似ています。楽しくなるまで信じて続けることが重要なのです。 そのためにも、分からないことを分からないまま放置することや、分かったのか分かっていないのか曖昧な状態で続けないことが大事です。